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kami82のレビュー・評価・感想

ひまわりっ 〜健一レジェンド〜
10

東村アキコ作品の中で、今でも一番好きです。

東村アキコさんの2006年から講談社モーニングにて連載されていたマンガ。東村アキコ自伝的な内容のマンガでもある。
おそらく自分のマンガ家デビュー当時のエピソードを限りなく本当に使用しているものと思われる。
実際にOLから少女漫画家として成功していく主人公アキコは、東村アキコそのものなのであるだろうし、そこに絡んでいく家族のエピソードも本物の家族のエピソードなのだろう。
この家族のエピソードなどが、かなり濃い内容で、一つ一つがおもしろすぎて、13巻までのコミックス完結までに何回笑ったか数え切れない。
特にサブタイトルにもなっている『健一レジェンド』の父・健一のエピソードはぶっ飛びすぎていて、もはやギャグである。
が、実際に本当にあったエピソードなんだろうなあと思わされる。
こんな父がいるなら、やはりエピソードを世間に披露しなくてはならないだろう。
そして、この物語の大きな柱は、主人公アキコと植木屋さんのケンイチ(父と同名)の恋物語なのであるが、これまたスムーズにすすまない。
この二人の歯がゆい恋物語なのだが、13巻にわたって繰り広げられるキャラの濃すぎる脇役達の暴走に次ぐ暴走で、本当に進まないのである。
中でも、敏腕副主任と、美人秘書エビちゃんが繰り広げる寸劇が最高すぎる!
エビちゃんが蟹江先輩を思い切なく歌い上げる「恋におちて」はもはや最高!としかいえないし、節子が歌う「木綿のハンカチーフ」は以外に心に染みる。
これ以上は、実際に読んでもらうまで、紹介できない。
なぜなら、これ以上のネタバレはもったいなさすぎるし、読む際にも一気読みは禁止でお願いしたい。
一日一冊ずつじっくり読み進めるのを、強くおすすめする。

全裸監督
9

村西とおるの半生を描いた傑作ドラマ

『全裸監督』は、2019年と2021年にネットフリックスにて配信された日本のドラマです。村西とおるの実話を元にしたノンフィクションドラマになります。
題材がアダルトビデオに関する作品のため、地上波での放送はまずあり得なかった作品と言えるでしょう。
『全裸監督』は大ヒットし、世界128か国で配信され、12の言語での吹き替えと28か国の言語で字幕配信されました。

主演は山田孝之、もちろん村西とおるを演じています。
このドラマの最大の魅力の一つは、山田孝之のまるで憑依したかのような演技力です。彼の演じる村西とおるはまさに彼そのものです。口調、間、イントネーション、表情、体形に至るまで、そのどれもがまるで村西とおる自身がそこに存在しているかのような演技を見せてくれます。

魅力は他にもあります。
村西とおるの半生そのものが、まるでマンガみたいな人生なのです(笑)。
紹介されるエピソードのどれもが衝撃的で、「普通の人だったら死んでいるんじゃないか」と思うようなことばかりです。ですが、この作品の本当のメッセージはそこではありません。

村西とおるの不屈の精神、希望へと向かう実直さ。
この作品は、村西とおるを通して自分の人生について改めて考えさせてくれる作品と言えます。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン / Violet Evergarden
9

言葉を伝える

時代が流れ年月が経ち、手段は変わりつつも、誰かに気持ちを伝えたい・届けたいという思いは絶対に変わらない。心を込め思いをのせた言葉は、手紙であれ電話であれ気持ちを届けるという点では同じだと、この映画を観て殊更強く感じる。手紙は形として残すことも出来るがすぐ伝えられない・電話は相手にすぐ伝えることは出来るがその時は交わした言葉は形にはならないから、どちらも良し悪しはあるだろう。映画の中では、まさに人々の生活の中で使われる手段が紙という媒体から電気信号へと時代が変わりつつある中で、その2つのモノがどのように人々と関わっていくのかが描かれていて、今の時代を彷彿させるかのような内容でした。かつて届いたいくつもの手紙が残された家族の絆を繋ぐきっかけを作ったり、もう傍にいることが出来ない友に大切な言葉を交わし友情を繋いでくれだ電話。手紙も電話も生まれたきっかけは同じなんだ、と。便利さを追求したこともあるだろうけど、根本的なところは今この瞬間に感じた思いや言葉を届けることなんだ、と。
今は気軽に使える電子機器があり、色とりどりの種類豊富な手紙の用紙もたくさんある。身近いる家族や友人に、いつもより少し考えて言葉を送ってみようかと思わせてくれた映画です。