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Satoha5

Satoha5のレビュー・評価・感想

ハンブレッダーズ / Humbreaders
9

ロックもポップも打破していく新時代の“音楽”

彼らの曲の一番の良さは「耳馴染みの良さ」です。
近年は「心に響く歌詞」に注目が集まっていて、特に共感できる歌詞の曲が爆発的にヒットする傾向が強いです。
しかし、『ハンブレッダーズ』の曲はなんと言ってもまず、メロディラインやBGMも含めて「曲自体」が素晴らしいです。
懐かしくもあり親しみやすくもあるメロディが聴く人の興味を一気に惹きつけ、それでいて歌詞も楽器の一つとして扱っていて、
“音”と真剣に向き合って音楽を作ったり届けたりしているのが伝わってきます。
気持ちの良い韻を踏んだなと思いきや、いきなり現代的なメッセージを取り入れてきたりと歌詞で遊ぶこともしたりします。
このように『ハンブレッダーズ』の曲には“懐かしさ”と“新しさ”が共存していて、
両者の良い部分のみが約3分間に凝縮されたかのような曲が数多くあるのが魅力です。
まだ若手バンドということで、演奏や歌詞に若干の荒々しさや青さがあるのもまた彼らの魅力となっていると思います。
ライブバンドと称されメディア露出のほとんどない彼らですが、若々しい勢いと魂のある音楽をもっとたくさんの人たちに聴いてもらい、
「耳が気持ちがいい」感覚を味わってほしいなと思っています。

マイ・バック・ページ
8

評論家・川本三郎の若き日々を回顧した作品を見事に映画化『マイバックページ』

川本三郎が1968年から1972年の『週刊朝日』および『朝日ジャーナル』の記者として活動していた時代を綴った回想録を原作にしています。原作の前半は東大安田講堂事件や三里塚闘争、ベトナム反戦運動などの当時を象徴する出来事の取材談、出会った人々の思い出、当時の文化状況などが新左翼運動へのシンパシーを軸に綴られ、後半は活動家を名乗る青年Kと出会ったことから、朝霞自衛官殺害事件に関わって逮捕され、有罪となって懲戒免職に至る顛末が語られています。雑誌『SWITCH』に1986年から1987年にかけて連載され、1988年に河出書房新社から『マイ・バック・ページ ある60年代の物語』という題で単行本が出版されました。一時は絶版となっていましたが、映画化を機に2010年に平凡社より再刊されています。
映画版は2007年に原作がプロデューサーの根岸洋之から監督の山下敦弘、脚本の向井康介に渡され、約3年をかけて脚本化の作業が行われました。山下、向井はどちらも舞台となる時代には生まれていなかった世代です。通常使われる35mmフィルムではなく、16mmフィルムで撮影され、それを拡大することで映像全体にざらついた質感を与えています。
キャッチコピーは「その時代、暴力で世界は変えられると信じていた」。

ヴィンセントが教えてくれたこと
8

ビル・マーレイがすてき

ちょいワル親父であるヴィンセントが、隣に越して来たいじめられっ子のオリバー少年を指導するみたいな話です。ヴィンセントをしているのは、ゴースト・バスターズのビル・マーレイでした。同じ顔だけど、正直、年取ったなと、時代の流れを感じてしまいました。でも、彼だからできた役だと思います。だって、ヴィンセントってほんとむちゃくちゃなので、ちょっと怖いと思うんですよ。それが、なんか、子どもと仲良くできて、彼のためにいろいろする、いいおじいちゃんみたいに見えるのは、ビル・マーレイだからってのが大きいと思います。ときどき、垣間見える優しさがとてもステキです。老人と少年の友情物語って、それだけでずるいというところはありますが、やはり泣けました。最後の晩餐のシーンとかすごくよかったです。ひねくれ老人、シングルマザー、売春婦などいろいろな立場の人が集まって、家族でもなんでもないんだけど家族みたいな感じでジーンとしました。まあ、実は問題は解決されたわけでもないのですが、それでもオリバーにとってヴィンセントとしたことはすごく意味があったと思うし、実際、そんな簡単に解決する問題ではないし、この顛末でOKだと思いました。