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Iolantheb3

Iolantheb3のレビュー・評価・感想

あなたの名前を呼べたなら
9

あなたと一緒にいたいから、あなたの人生をめちゃくちゃにします

フランスとインドの合作映画です。フランス映画のおしゃれさと、インド映画の色彩豊かさが合わさり、画面に映る全てがとても美しい。派手なアクションも刺激的な事件も(そしてインド映画につきもののカラフルなダンスシーンも)ないけれど、インドの都会でビジネスマンとして成功しているアシュウィンのマンションの洗練されたインテリアや、インドの田舎出身のラトナのサリーの柄の合わせ方やサリーの仕立て屋のシーンは、胸がきゅんきゅんする程素敵です。しかし、インド社会の現実は明るい側面だけではないとこの映画は伝えています。身分の差、男女の生き方、近代化している都会と未だに因習に囚われる田舎との価値観の違い。作中の二人は、その現実になんとしても立ち向かっていこうとか、悪しき習慣を変えてやる!といったアクションはしません。解放されたいと心の底では願いながらも、ただ静かに静かに、現実を受け入れています。なぜかというと、それはあまりにも大きな障害であり、それを打ち壊すことはお互いの人生をも破壊してしまうからなのです。もっと若ければこの障害を打ち壊すことができるのか。もっと勇気があればできるのか。もっと強く愛していればできるのか。それとも、愛しているからできないのか。それぞれの恋愛観によって出る答えが異なるであろう、大人の方に見ていただきたい作品です。

万引き家族 / Shoplifters
10

一度は見るべき現代社会を風刺したストーリー

ーあらすじー
万引きで生計を立てる柴田治、妻の信代、息子の祥太、信代の妹亜紀、治の母初枝による5人家族のストーリー。
ある冬の夜治と祥太は近所の団地のベランダでひとり震える女の子を見つけ、匿うように家に連れて帰った。数時間後、ゆりと名乗るその女の子を家に返そうともう一度団地へ行くと、若い夫婦のけんかの声を耳にすることとなる。虐待の事実を察した家族はゆりと暮らしていくことを決める。
小学校に通っていない祥太は日中外に出てゆりと二人で行動し、休みの日には家族で出かける。次第に家族の仲は深まっていった。
そんなある日テレビをつけると、ゆりが誘拐されているとの報道が流れていた。誘拐、万引き、家族のしたことは次第に様々な形で発覚することとなる。
本当の家族とは何かを改めて考えさせられる映画。

この映画はとにかくストーリー構成がしっかりとしていて、一瞬足りとも飽きのこない作りになっていました。
役者は一人として違和感の感じないはまり具合です。適役とはまさにこのことと感じました。
そのうえ、一人一人の演技力が秀逸であるため作品に対する引っ掛かりがありません。セットや衣装に対するリアリティも強く、なすべきことを確実にこなした作品といえると思います。
他の方のレビューを見ると賛否両論といった印象がありますが、上映当時日本が抱えていた社会の裏にある問題に対して真摯に取り組んだかなり質の高い作品であると私は感じました。