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0atotsuki-natsukiのレビュー・評価・感想

宝石の国 / Land of the Lustrous
10

「宝石の国」の底知れなさ

とにかくびっくりするというか、作者のその世界観に驚愕する作品です。この世界の始まりと終わりとそこに至るまでの道程を記した記録本のようなものなのかも知れないです。

宝石が人のような姿をして人のような感情を持ち、なんとも閉ざされた世界で生きていて、その狭い世界にも外的な力の介入がある。
でもそれも勝手に敵とか味方とか思わされてるところに主人公のいろんな葛藤の末のある疑問から、どんどん「人とは、世界とは一体なんなのか?」「本当の本当は?」「好きという気持ちはなんなのか?」「親や権威のいうことは本当のことか?」「そもそも本当って何が本当ってことなのか」「誰の本当なのか?」「私とは?」「自分とは?」と、めちゃくちゃいろんなものが渦巻いてどんどん主人公がぐちゃぐちゃになっていく。

人の役に立ちたい。そんな自分でありたい。そうであることに価値がある。大切に思うもののために、成長し続ける主人公。
それが主人公の視点をどんどん拡大させていき、大きな大義に利用されるところは、もう見ている側の心臓を抉り取られて息をするたび妙な心地に包まれます。

大義の前の一つの存在、大義の前の大勢と個人、ほんの小さな微かな心の声はどこにも届かず踏み躙られるだけなのか。見ている側がどういう視点で見るのかで、相当大きく物語の意味が違って捉えられるような作品です。

ドロヘドロ / Dorohedoro
10

これこそが混沌アニメードロヘドロー

一言で表すなら「カオス」そのもの。2000年から2018年に連載されていた人気コミックをアニメ化したもの。
魔法使いにトカゲの頭に変えられ記憶をなくした「カイマン」と謎おおき女「ニカイドウ」が主人公で、カイマンの姿をトカゲに変えた魔法使いを探しだし、カイマンを元の姿に戻すストーリー。
ストーリー設定も面白いけど、アニメの描写表現や色使い、話の繋げ方など全てが完璧でカオス。また、楽曲もカオスそのもので、アニメの世界観ともマッチしていて楽曲にも注目できるため、オープニング・エンディング共に最後まで目が離せない。
グロシーンもあるがなぜか思ったよりグロくない。また、敵役の「シン」「ノイ」「エン」などのキャラクラーも主人公の2人と同じほどフォーカスされていることから、視聴者は全キャラクターのファンになることは間違いない。
また、人気であるのになぜかアニメの2期が作製されず、アニメから入ったファンは待ちきれずに漫画を集めるというほどの面白さで、なぜか病みつきになるアニメである。
ファンは首を長くして2期作製を待っているが、今のところ作製の予告はないが、今後最も期待されるアニメであると言える。このアニメを視聴後は必ず大葉餃子が食べたくなるだろう。

ハンナ・アーレント
9

フォン・トロッタ監督が放った衝撃の問題作、ユダヤ人殺害の下手人は凡庸な人物だったか?『ハンナ・アーレント』

『ハンナ・アーレント』は2012年に製作されたドイツ・ルクセンブルク・フランスの合作である伝記映画で、監督はマルガレーテ・フォン・トロッタ、主演はバルバラ・スコヴァ。
映画はユダヤ系ドイツ人の哲学者・政治理論家のハンナ・アーレントの生涯を題材にしています。
米国での配給はツアイトガイスト映画社で、米国公開は2013年の5月末からでした。
ドイツ人の監督フォン・トロッタの映画は、1961年に行われたアドルフ・アイヒマンの裁判に対するアーレントの反応を描いています。
アイヒマン裁判を彼女は雑誌『ニューヨーカー』で取り上げました。
アーレントによるアイヒマンとユダヤ人評議会の描写は論争を巻き起こしました。
アーレントは現在では有名になった「悪の凡庸さ」という概念を紹介します。
映画批評サイト「ロッテントマト」は本作のことを「バルバラ・スコヴァの力強い演技を通して複雑な性格の公的な人物の生涯を劇的に描き出すという力技を成し遂げている」と評し、高い評価点を与えています。
『ニューヨークタイムズ』紙は、この映画が「ある種のドイツ思想の魅力、神秘、難解性を伝えている」と肯定的に評価。
「スコヴァ女史の精力的でありながら控えめでもあり、過度に実際のアーレントに成り切ってもいない演技はアーレントの恐れを知らぬ力強さだけでなく彼女の温もりも、そしてとりわけ彼女を駆り立てる内奥の妥協を知らぬ好奇心を露わにしています」との言葉を寄せています。
『パリレビュー』誌は、「映画作品を通してものごとを考えさせるのはとてもこんな課題であるし、入りやすいアプローチでしかも感動をもたらす方法でそうさせることができれば勝利ですらある。
ハンナ・アーレント自身が書物を発表することで試みた真摯な公的な議論を喚起することがこの映画で約束されたことを知ったら驚いているだろう」との賞賛を掲載しています。