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『moon』(ムーン)とは、ラブデリックが開発し、アスキーが1997年10月16日に発売されたPlayStation用ゲームソフト。ジャンルはリミックスRPGアドベンチャーゲーム。ゲームのテーマは「アンチRPG」「アンチゲーム」であり、本作の勇者は罪の無いモンスター(ゲーム内では「アニマル」)を殺し、他人の家に押し入り色々な物を強奪していくような迷惑な存在として描かれている。キャッチコピーは「もう、勇者しない。」。
長らく移植は行われなかったが、Nintendo Switch用ダウンロードタイトルとして2019年10月10日より配信された。

moonのレビュー・評価・感想

moon
10

アンチRPGの礎・もう勇者しない!

ラブデリックが開発し、アスキーから発売されたプレイステーション用のゲームソフトなのですが、最近ニンテンドースウィッチで完全移植版のダウンロード専用ソフトとして発売されたことで再び話題に上がりました。
このゲームを知ったのは、ニコニコ動画で配信されたゲーム実況なのですが、このゲームに出会えたことに本当に心のそこから感謝しています。
ゲームをする人なら何度も何度も倒してきた敵を思い返します。レベルを上げるための作業によって葬られた数々のモンスターたち。このmoonというゲームは、そんなRPGの根底を覆し、疑問を投げかけるゲームといっても過言ではありません。
勇者によって倒されたモンスターたちを蘇らせることにより物語は進んでいくのですが、モンスターたちのキャラクターデザインはもちろん、登場人物みんながそのゲームの中で生き生きと、そして懸命に自分の物語を生きています。
私が何より面白いと感じたのは、主人公自ら何らかの行動を起こさないと、BGMすらかからないところです。能動的に、そして気ままにゲームの中を旅していると、このゲームは何を伝えたいのか、どう楽しんでほしいのかが少しずつわかっていきます。
ラストの選択一つで、衝撃的な真実にたどり着き、またもう一度あの世界を旅したいときっと思うと思います。普通のRPGにちょっと飽きてきたなと思う人は、moonをプレイするとまた違ったゲームとの向き合い方が見えてくるかもしれません。

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10

今プレイしてもハマるPS1の隠れた名作!

冒頭で主人公はRPGのゲームをしています。
しかしその後ゲームをやめるのですが、消したはずのテレビがついてゲームの世界に吸い込まれてしまいます。
吸い込まれてしまった世界はモンスターが存在し、それを倒す勇者もいます。
しかし、ドラゴンクエストとの最大の違いは何と言っても主人公は「モンスターを倒さない」事です。
「何で?RPGなのに?」と思うかもしれませんが、このゲームでは勇者が倒したモンスターの幽霊を捕まえて元の姿に戻してあげる(救出する)事で主人公のレベルが上がるシステムなのです!一風変わったシステムですがモンスターの幽霊もただ捕まえて「ハイ、終わり!」という訳にはいきません。彼らを救出してあげるにはまず、彼らがマップ上のどのエリアに出現するのか探し、出てきた瞬間を狙って捕まえてあげる必要があります。
モンスターによっては特定の時間にしか現れたなかったり、特定の行動をしないと出てきてくれなかったりするので彼らの亡骸の元にあるヒントを頼りに救出する条件を考えないといけません。
ゲームの主な流れは探索→モンスターの生態調査→救出と言った感じになるのですが、序盤のレベルの低い内は探索出来る範囲が狭いです(この辺は普通のRPGと同じかも)。このゲームは主人公が行動出来る時間が制限されています、レベルが上がるにつれて行動出来る時間も増えるのでそれだけ探索も長く行えるんです。
行動出来る時間の範囲を超えると倒れてしまい、ゲームオーバーになってしまうので注意です。
さて、最初にお話しましたがこのゲーム、ドラゴンクエストのようなRPGの世界のお話です。勇者がいて、モンスターがいて最後には勇者を待ち受けるラスボスもいるのです。しかし主人公はむしろ勇者とは逆の立場。モンスターを救出してあげるのが目的です。
では倒されたラスボスも救出してただ終わるだけのゲームなのでしょうか?そこは是非実際にプレイして見てほしいです!このゲームは実はマルチエンディングになっています。あなたは真のエンディングにたどり着く事が出来るか!?
気になる方はPS4・5からPS STOREをチェックしてみて下さい。

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8

moonが名作か否かはプレイして判断を

プレステで発売されプレミア価格がついていた『moon』。switchで発売という吉報に歓喜し、さっそく購入にいたりました。
名作と名高いですが、発売当時は様々な波紋があったことも聞き及んでいました。
キャッチコピーの「もう、勇者しない」の通り”アンチRPG”を題材としたゲームです。物語の中心となっていた勇者を他者から見たら…というストーリー展開です。
ゲームの進め方やシステムも、私たちの思い描く普通のRPGとは異なっていました。
戦闘は一切無く、主人公の体力を管理しながら歩き回り、町の住民のお願いを聞いたり、勇者に倒されたモンスターたちを救助して成長します。
このゲーム特有と感じたのは、様々な場面を「待つ」ことです。何もせず待つことでクリアできる課題がいくつかありますし、住民の日々の習慣を時間まで待つこともあります。
勇者とは違い、物語の端っこの存在になった気分です。
フィールドBGMなどもほとんどありません。自分で好きな音楽を並べて聞けるという画期的なシステムですが、このミュージック一つ一つの素晴らしさもプレミア価格を頷かせる要素の一つです。
発売時の1997年に勇者を悪役として登場させることは冒険だったと感じますが、それから20年以上経った現在はコンテンツに溢れていて、結構普遍的な題材かもしれません。
しかし、『moon』の優しく、ヘンテコで、物悲しい雰囲気はこのゲーム特有のものでした。
エンディングは、人によってかなり印象が変わるものです。私は、当時の強く感じ入った方々が「名作だ」と声高に言うのも頷けると感じました。

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10

最高のアンチRPG

ゲーム業界の王道であるRPGというジャンルに対してアンチRPGという真新しい視点で作られた斬新なゲーム。
勇者が魔物を倒すためにモンスターを倒して経験値をつんでレベルを上げていく…というのがRPGの王道ともいえるが果たしてそれは本当に正義なのか。例えば勝手に人の家のタンスを漁ったり、片っ端から何の罪もないモンスターを殺したり…。視点を変えれば勇者の行動は果たして正しかったのだろうかと考えさせられる。
主人公は、ゲーム内で勇者が殺したモンスター達をラブという愛で救っていく。その他にも町の人たちの悩みや困ったことを解決していくことでもラブを手に入れていく。このゲームは登場するキャラクターが全員個性的で、なのに魅力的でなぜか嫌いになれない。そして、ゲームだとなめてかかると時にはズンと心にのしかかる考えさせられるような言葉を投げかけられたりもする。
ゲーム内のBGMが自分で選べるというのも魅力的である。何十曲もある中から好きなBGMを選んでゲームをプレイできる。そして、その楽曲がまたどれも魅力的で選べないほどである。
ラブを集めて世界を救おうとする主人公は果たしてどのような結末を迎えるのか。衝撃的なラストをぜひプレイしい。ゲームが好きな人には1度はやってみてほしいゲームである。

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9

もう、勇者しない。

今でもプレミア価格で取引きされている、知る人ぞ知るゲーム、「moon」。
なぜこんなにも長い間、たくさんの人から愛されているのでしょうか?その理由は、やはり「ストーリー性」にあると思います。まるで絵本を読んでいるかのような気持ちにさせてくれるこのゲームは、今までのRPGとは違った魅力があります。

悪いモンスターを倒す英雄であるはずの"勇者"が、町で暴走したり、罪のないモンスター(動物)たちを次々と殺していきます。プレイヤーはそんなモンスターたちの魂を救い、「ラブ」を集めてレベルアップしていきます。
一見、闘いのないほのぼのとしたストーリーに見えますが、ムーンワールドと呼ばれるこの世界には誰も気づかない真実があります。
プレイヤーは町の住人たちと少しずつ関わりながら、そしてモンスターたちの魂を救出しながらラブを集め、勇者を追っていきます。ストーリーを進めるごとにムーンワールドや宇宙のこと、そして愛のことを知り、段々と"真のエンディング"を見るためのヒントを掴んでいきます。

そして最大の見せ場はエンディング時の選択です。
住人たちの声に耳を傾け、ムーンワールドの真実に気づき、ゲームで手に入れた以上のラブがプレイヤーの心にあれば真のエンディングにたどり着けるはずです。
このエンディングにたどり着いたとき、キャラクターたちへの愛しさと、彼らの行く末の切なさで胸がいっぱいになります。
やり込み要素も多数ありながら、ストーリーの奥深さとはっとさせるエンディングに心を揺さぶられました。ぜひともプレイしてほしい作品です。