劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』とは、1998年7月に公開された、テレビアニメ 『ポケットモンスター』の劇場版作品1作目である。同時上映は『ピカチュウのなつやすみ』。主人公のサトシたちがポケモン城に招待され、そこで人工的に作られたポケモン・ミュウツーと出会う。子供向けの作品でありながら、自分の存在意義や人工的に生み出されたことに対する復讐という重たいテーマが描かれた作品であった。そのため、子供だけでなく大人からの評価も高い。2019年7月には、1作目を全編フル3DCGで描いた『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が、22作目のポケモン映画として公開された。

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTIONのレビュー・評価・感想

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
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深く心に突き刺さって永遠に残るポケモン映画

大人気ゲーム作品・ポケットモンスターの劇場版作品第1作目です。
これまでに何作もポケモン映画は発表されていますが、この作品を超えるものは未だかつて無いと個人的に思っています。
原点にして頂点、なんてよく言われますが、この作品はまさにそれだと思います。
ゲームボーイのポケットモンスター赤緑が大ヒットし、テレビアニメも始まった頃で、まさに世界的な規模でのポケモンブーム真っ盛りの時代に公開された作品です。
当時は、ゲームの最終的な目標は「ポケモンを育ててチャンピオンになる」や、テレビアニメも子供向けのライトな1話完結のストーリーで「ポケモンマスターになる」という最終目標が掲げられていました。
メインターゲットの子供も理解しやすく、ポケモンの世界にのめり込みやすいライトな映画かなと思わせておいて、今作のカギとなるポケモン・ミュウツーが、人間でもなければポケモンでもない自分というものの存在意義と、自分を生み出した人間へ復讐をするという、恐ろしく重いストーリーで驚いた記憶があります。
作られた命というミュウツーの悲しすぎる生い立ちや、ミュウツーの元となったポケモン・ミュウへの激しい対抗心は涙なしには見られません。
当時、まだ未就学児だった私の映画館デビューとなったこの作品ですが、当時の感想は「ミュウツーかっこいい!」「サトシとピカチュウがんばれ!」くらいのものでしたが、
大人になってから改めて鑑賞してみると、この映画の壮大すぎるメッセージに思わず震えました。
ポケモンは子供のもの、と思われがちですが、深く考えさせられる映画です。

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
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リアルタイム世代の私が観た結果

これは1998年に大ヒットを記録したポケモン映画、ミュウツーの逆襲のリメイク版です。21年前の夏、はじめて行った映画館で観た映画で、その時は映画の内容を半分も理解していませんでしたが、それでもこの映画はすごいということはわかりました。
それから映画未公開シーン含めて何度もこの映画を見直して、ようやくこの映画のメッセージがわかりました。そして2019年、この心に残った映画のリメイク版が出ると聞いて「リメイクで変に改悪されていたら嫌だな」という気持ちを抱いていました。しかし、観ずに批判するのはいけないので鑑賞することにしました。
結論を言えば、変に改悪された部分は無かったです。セリフや演者など時代の流れなどで変わるところは変わっていました。しかし私達リアルアイム世代が守ってほしかったところはきちんと守られていたのが良かったです。
メインメンバーの松本梨香さんや大谷育江さん達は21年前に比べてまったく劣化していませんでした。もちろんミュウツー役の市村さんや、ミュウ役の山寺宏一さんも。特に市村さんが演じる悲壮感溢れるミュウツーや、パートナーのサトシへの愛情をピカチュウの鳴き声だけで表している大谷育江さんは本当にすごい演技で涙が止まりませんでした。

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 / ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
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劇場版ポケットモンスターシリーズの記念すべき第1弾

1998年7月公開。もう20年以上前の作品になります。本作は、今もなお続く劇場版ポケモンシリーズの第一作目であり、往年のファンの間では、「第一作目にして最高傑作」との呼び声も高く、今でも多くの支持者がいます。
僕は当時、本作を映画館でリアルタイムで見ていましたが、正直なところストーリーは小学生には難解です。
ピカチュウ達VSミュウツーの激しいバトル展開を想像していたのですが、予想に反してシリアスなストーリーで、良い意味で期待を裏切られました。
言わんとしている事は何となく分かるが、意味分かるような、分からないような…といった感じでした。ですが、ストーリー展開はもとより音楽、またミュウツー役を演じられた市村正親さんの名演技など、TVアニメ版では見られない程ハードな要素がふんだんに盛り込まれており、また終盤のサトシ石化→復活→ロケット団の「良い感じ」→エンディングの「風といっしょに」の流れも巧妙で、今でも見返すと当時の感情がありありと蘇り、胸がこみ上げてきます。
まあ、ミュウツーによる記憶抹消はちょっと突っ込みたい気持ちがありますが、これも「サトシ達はこの出来事を忘れてしまい、映画を見た僕らだけが知っている」という首藤剛志氏(脚本家)による演出なのだろう、と捉えれば何とも言えず胸が熱くなります(笑)。

本作が最高傑作と言われる所以は、前述の通りTVアニメ版とは一線を画したシリアスさ・ハードさを孕んでおり当時の鑑賞者を中心に強烈に胸を焼き付けられた事もありますが、それに加えて当時の小学生達や映画スタッフの熱量も挙げられると思います。
ポケモンは今でこそ、みなとみらいの街全体でイベントが出来てしまう程のコンテンツ力を持っており、子供から大人まで幅広い層から支持を集めるに至っていますが、1998年当時はポケモンと言えば主に小学生以下の子供達からの支持に留まっていたはずです。しかし、当時の小学生達の間では、ポケモンはもはや社会現象といっても過言ではない程のブームが起きており、子供達のポケモンに対する熱量が今の比ではなかったと推測されます。
またアニメスタッフサイドも、1998年当時といえば、あの「ポケモンショック事件」の大混乱を乗り越え、やっとの思いでアニメ復活、そして劇場版公開に踏み切れたわけですから、本作に対しては並々ならぬ思い入れがあった事でしょう。

これらはあくまでも推測ですが、内容はもとより上記のようなバックグラウンドも相まって、ポケモン映画に対する期待値が高まっていたこと、またその期待を良い意味で裏切るような内容であったこと、これらが最高傑作と言われる所以なのだと思います。
ポケモン好きなら一度は見てみてほしい作品です。