劇場版ポケットモンスターシリーズの記念すべき第1弾
1998年7月公開。もう20年以上前の作品になります。本作は、今もなお続く劇場版ポケモンシリーズの第一作目であり、往年のファンの間では、「第一作目にして最高傑作」との呼び声も高く、今でも多くの支持者がいます。
僕は当時、本作を映画館でリアルタイムで見ていましたが、正直なところストーリーは小学生には難解です。
ピカチュウ達VSミュウツーの激しいバトル展開を想像していたのですが、予想に反してシリアスなストーリーで、良い意味で期待を裏切られました。
言わんとしている事は何となく分かるが、意味分かるような、分からないような…といった感じでした。ですが、ストーリー展開はもとより音楽、またミュウツー役を演じられた市村正親さんの名演技など、TVアニメ版では見られない程ハードな要素がふんだんに盛り込まれており、また終盤のサトシ石化→復活→ロケット団の「良い感じ」→エンディングの「風といっしょに」の流れも巧妙で、今でも見返すと当時の感情がありありと蘇り、胸がこみ上げてきます。
まあ、ミュウツーによる記憶抹消はちょっと突っ込みたい気持ちがありますが、これも「サトシ達はこの出来事を忘れてしまい、映画を見た僕らだけが知っている」という首藤剛志氏(脚本家)による演出なのだろう、と捉えれば何とも言えず胸が熱くなります(笑)。
本作が最高傑作と言われる所以は、前述の通りTVアニメ版とは一線を画したシリアスさ・ハードさを孕んでおり当時の鑑賞者を中心に強烈に胸を焼き付けられた事もありますが、それに加えて当時の小学生達や映画スタッフの熱量も挙げられると思います。
ポケモンは今でこそ、みなとみらいの街全体でイベントが出来てしまう程のコンテンツ力を持っており、子供から大人まで幅広い層から支持を集めるに至っていますが、1998年当時はポケモンと言えば主に小学生以下の子供達からの支持に留まっていたはずです。しかし、当時の小学生達の間では、ポケモンはもはや社会現象といっても過言ではない程のブームが起きており、子供達のポケモンに対する熱量が今の比ではなかったと推測されます。
またアニメスタッフサイドも、1998年当時といえば、あの「ポケモンショック事件」の大混乱を乗り越え、やっとの思いでアニメ復活、そして劇場版公開に踏み切れたわけですから、本作に対しては並々ならぬ思い入れがあった事でしょう。
これらはあくまでも推測ですが、内容はもとより上記のようなバックグラウンドも相まって、ポケモン映画に対する期待値が高まっていたこと、またその期待を良い意味で裏切るような内容であったこと、これらが最高傑作と言われる所以なのだと思います。
ポケモン好きなら一度は見てみてほしい作品です。