善悪の屑

善悪の屑

『善悪の屑』は、作者の渡邊ダイスケにより『ヤングキング』で連載され、シリーズ累計発行部数が460万部を突破した人気漫画である。2014年10号から第一部として連載開始。同作品の第二部では『外道の歌』にタイトルを変更。悲惨な事件を起こしたにも関わらず、様々な理由で十分な裁きを受けない犯罪者達に対し、被害者やその家族に代わって復讐を代行する「復讐屋」の鴨ノ目武と島田虎信の物語である。胸糞悪い事件の加害者たちがさらなる酷い復讐を受けるという、エグサと共にすがすがしさをもたらす作品だ。

善悪の屑のレビュー・評価・感想

善悪の屑
10

女性でもハマる善悪の屑の読みたくなる面白さ!!

鬱漫画と言われたら、ほとんどの人が心が落ち込むのではないかといったことを思い浮かべると思う。
しかしながら、この善悪の屑という漫画は、復讐漫画になっているため、人間の底辺のような屑しか出てこない。そのため、読者側は「もっとやれ!!」とだんだん声援を送りたくなる。
この漫画に出てくるクズは、家族を殺した犯人やいじめで孫を死に追いやった同級生と担任、レイプ犯など犯罪者が多く出てくる青年漫画ということもあり、女性は手に取りづらいと思う。
しかし、レイプ犯に襲われた女性からの依頼を聞くと、胸糞悪すぎて復讐をされていても、犯人に可哀想という感情は起きなくなってくる。鬱漫画やグロ漫画が好きな方にはとてもおすすめするが、少し過激な描写が出てくるのでそこだけは注意していただきたい。
最後に、善悪の屑には続編があり、もしも善悪の屑にハマった方がいれば、外道の歌、園田の歌もおすすめしたい。外道の歌は前作に出てきたキャラクターや犯罪者も出てくるので、できれば続けて読むともっと話を理解できるし、園田の歌では、犯罪者側の話になるので、どのような心理で犯罪を行うのかなど、復讐屋と犯罪者の両方の視点の考えを読むことができる。つまりみなさんはこの漫画たちを読むしかないと思う。

善悪の屑
7

論理感とのたたかい。

犯罪被害者からの依頼を受けて加害者に復讐を行う「復讐屋」の話。
「もうウンコできないねえ」という台詞が恐らくネット上で有名だろうが、本編中のその台詞のシーンに出くわしたとき、笑うどころか私は言葉が出なかった。
ネットのバナー広告等でだいぶ有名になったし、何処かで有害図書に指定されるのも頷ける程の残虐シーンばかりだが、これを私は何故だか「堪えるしかない」という現実との戦いにも見えてしまう。悔しいものは悔しいのである。
例えば被害者がそれを望んでいるか~みたいな理屈はただの綺麗ごとだし、目の前で近しい人間を殺されたりした人にこうしたモラルや論理の話をする方がむしろおかしいのではないだろうかとも、この漫画を読むと思わされてしまうのである。
まともな人がまともじゃない奴にやられてしまう世知辛い世の中なのである。
今の世の中ではいくら泣き叫ぼうとも誰にもその声は届かずただ「堪える」しかないことばかり。
凄惨な加害者への拷問シーンを見ても心が痛んだり考えたりしないのは、私の人格が破たんしているとかではなく
「堪えるしかない」社会への反発のような理由が存在するのではないかとも考えてしまった。
この漫画は「どうにも出来ないこと」の向こう側を見せてくれている気がする。
危険思想なのかもしれないと思いつつ今文章を書いているが、是非読んだうえで自分なりの「正気」を再考するとよいかもしれない。