論理感とのたたかい。
犯罪被害者からの依頼を受けて加害者に復讐を行う「復讐屋」の話。
「もうウンコできないねえ」という台詞が恐らくネット上で有名だろうが、本編中のその台詞のシーンに出くわしたとき、笑うどころか私は言葉が出なかった。
ネットのバナー広告等でだいぶ有名になったし、何処かで有害図書に指定されるのも頷ける程の残虐シーンばかりだが、これを私は何故だか「堪えるしかない」という現実との戦いにも見えてしまう。悔しいものは悔しいのである。
例えば被害者がそれを望んでいるか~みたいな理屈はただの綺麗ごとだし、目の前で近しい人間を殺されたりした人にこうしたモラルや論理の話をする方がむしろおかしいのではないだろうかとも、この漫画を読むと思わされてしまうのである。
まともな人がまともじゃない奴にやられてしまう世知辛い世の中なのである。
今の世の中ではいくら泣き叫ぼうとも誰にもその声は届かずただ「堪える」しかないことばかり。
凄惨な加害者への拷問シーンを見ても心が痛んだり考えたりしないのは、私の人格が破たんしているとかではなく
「堪えるしかない」社会への反発のような理由が存在するのではないかとも考えてしまった。
この漫画は「どうにも出来ないこと」の向こう側を見せてくれている気がする。
危険思想なのかもしれないと思いつつ今文章を書いているが、是非読んだうえで自分なりの「正気」を再考するとよいかもしれない。