グラゼニ

グラゼニのレビュー・評価・感想

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7

世知辛い世界観に共感してしまうリアル野球漫画

「お金」という観点で中堅リリーフ投手選手「凡田夏之介」を中心にプロ野球の裏側を描いた野球漫画です。

<おもしろポイント>
・感情移入がハンパない!
大半の野球漫画はファンタジーですが、サラリーマンにとってこの漫画はリアルです。主人公の夏之介は「査定」や「評価」を気にしつつ、ピンチでの緊急登板など損な役割も「仕事」として割り切り、監督や球団幹部といった「上司」へ健気に尽くす姿はサラリーマンにとって強烈な感情移入を呼び起こします。スカッとする喜びも、苦々しい悔しさも共感できる部分が多く、ついつい夏之介を応援したくなります。また、年末の契約更改についてもしっかり描かれますので、シーズン中の必死の努力を評価され、年棒が変化した際は自分のことにように一喜一憂すること請け合いです。

・周囲の背景からも目が離せない!
試合展開や主人公である夏之介の活躍だけでなく、周囲の展開からも目が離せません。トレードやFA選手の獲得、予算の配分など球団経営方針、先輩・同僚選手の凋落によるチャンス到来や後輩選手・新人の台頭によるポジション交代、実力はあるのに試合に出られない選手など様々な「大人の事情」によって選手たちは翻弄され、夏之介を含む他のキャラクターにとって有利・不利な展開が急遽発生するなど、見逃せない伏線やハプニングもふんだんに盛り込まれており、常に目が離せない展開にどんどん引き込まれます。

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5

野球マンガだけど試合で熱くならない作品。絵に好き嫌いはあるかも。まったり読める。

熱血野球漫画ではありません。プロ野球の裏舞台をテーマにした作品です。アニメ化も2018年4月からされています。絵は青年誌連載の影響か、今どきの綺麗な主人公などではないので、絵が重要でハマらないという人には向かないかもしれませんが、ストーリーはハマると面白い作品です。
主人公は凡田夏之助という中継ぎ投手で中堅の選手。年俸は1800万円と、野球マンガの主人公としてはパッとしない。
ストーリー序盤の主人公の特徴は、相手が好調不調でも自分の年俸より低いもしくは億位の相手には強く、主人公よりちょっと高い、同じくらいの年俸選手には打たれがちという年俸で成績が変わる投手。特技は、選手名鑑に出ている相手選手の年俸当て。
ストーリーは、実際のプロ野球の舞台でのビジネスのお話が軸。それに連動して選手は普段何をやってるか。選手の取り巻く環境や、年俸に関しての査定換算、トレード事情やFA権、代理人・監督・コーチ―などのプロ野球を取り巻く人の心理描写を焦点を置いている。
選手や球団のフロントの考えや思惑などを中心にとてもわかりやすく描かれている。
そして、ストーリー序盤では決してスター選手とは言えない主人公・凡田が、あるきっかけで活躍し査定をめぐり岐路を考えるという展開になります。そこでも年俸、生涯年俸、選手生命からの逆算など軸はぶれずに進むストーリーです。
スター選手から1軍生き残りラインの選手、監督、コーチ、球団フロントの心理描写が面白い。
試合シーンはあくまでその為の描写として書かれているので、あまり感動とかは少ないかもしれません。
人生プランとか好きな人には面白いかも。