グラゼニ

グラゼニ

『グラゼニ』とは、原作・森高夕次、作画・足立金太郎による野球漫画。『週刊モーニング』にて2011年第2・3合併号から不定期連載を開始。26号から週刊連載化し、2014年第39号での一旦終了を経て、同年第43号より2018年第11号から第2部『グラゼニ 〜東京ドーム編〜』の連載をスタートさせた。タイトルの「グラゼニ」は「グラウンドには銭が埋まっている」の略。プロ野球チームの中継ぎ投手が、年俸を上げようと奮闘する様を描いており、 試合以外の裏話や選手達の引退後の人生がどうなるかなど、プロ野球の裏側を知ることができる作品である。

onigiri_sanのレビュー・評価・感想

グラゼニ
7

世知辛い世界観に共感してしまうリアル野球漫画

「お金」という観点で中堅リリーフ投手選手「凡田夏之介」を中心にプロ野球の裏側を描いた野球漫画です。

<おもしろポイント>
・感情移入がハンパない!
大半の野球漫画はファンタジーですが、サラリーマンにとってこの漫画はリアルです。主人公の夏之介は「査定」や「評価」を気にしつつ、ピンチでの緊急登板など損な役割も「仕事」として割り切り、監督や球団幹部といった「上司」へ健気に尽くす姿はサラリーマンにとって強烈な感情移入を呼び起こします。スカッとする喜びも、苦々しい悔しさも共感できる部分が多く、ついつい夏之介を応援したくなります。また、年末の契約更改についてもしっかり描かれますので、シーズン中の必死の努力を評価され、年棒が変化した際は自分のことにように一喜一憂すること請け合いです。

・周囲の背景からも目が離せない!
試合展開や主人公である夏之介の活躍だけでなく、周囲の展開からも目が離せません。トレードやFA選手の獲得、予算の配分など球団経営方針、先輩・同僚選手の凋落によるチャンス到来や後輩選手・新人の台頭によるポジション交代、実力はあるのに試合に出られない選手など様々な「大人の事情」によって選手たちは翻弄され、夏之介を含む他のキャラクターにとって有利・不利な展開が急遽発生するなど、見逃せない伏線やハプニングもふんだんに盛り込まれており、常に目が離せない展開にどんどん引き込まれます。