さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝

『さよならの朝に約束の花をかざろう』とは、2018年に公開された日本のファンタジーアニメ映画である。「P.A.WORKS」が制作を担当し、「岡田麿里」が監督を務めた。この物語の内容は、普通の人間よりも遥かに長い寿命を持つ少女「マキア」が、普通の人間の赤ん坊「エリアル」を拾い、様々な困難を乗り越えながら育てていく物語である。長寿の母とそうではない息子との物語を描いた本作品では、「愛」や「命」の尊さが繊細かつ美しく表現されており、鑑賞した人々に大きな感動を与えた作品として評価されている。

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さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝のレビュー・評価・感想

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝
10

人生が詰まった感動巨編

初見の際、全体を通してぼろぼろに涙を流しながら見た思い出があります。多くの方にオススメしたい感動作品です。
別れの一族と呼ばれる長命な種族の女の子を軸にしたファンタジーアニメ映画なのですが、登場人物たちの心や気持ちがとても丁寧に描写されていて大好きな映画です。
環境や立場が変わり、気持ちが変わるもの変わらないもの様々ですが、感情移入してしまうキャラクターが誰かしらいるのではないでしょうか。
主人公のマキアは最初弱い部分もあったのですが、経験を経て逞しくなっていく姿を見せてくれます。その様子からは、人間は弱さや不安を抱えながらも、こうやって年を重ねて強く成長していくんだなと感じさせられます。この作品は一本の映画に人生が詰まっていると言っても過言ではありません。
主人公マキアとエリアルが写っているキービジュアルを見ると、良くある恋愛ものの物語なんじゃないかと思ってしまうのですが、この作品はそのような展開にはならないんです。
親子についてが描かれていて、同じような体験をしたことがある人は涙なしには見れないと思いますし考えさせられる部分もあると思います。
また映像や音楽も美しく、エンディング曲の繊細で美しいメロディーは作品にぴったりだと感じました。

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝
9

親子の想い

この「さよならの朝に約束の花をかざろう」は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と「心が叫びたがってるんだ。」の脚本を担当された岡田麿里さんが監督として手掛けた作品です。それら二作品とは違い、完全なファンタジー作品です。
主人公の少女マキアはイオルフと呼ばれる不老長寿の一族。彼女達は不老長寿で、人里離れた村に住んでおり、普通の人間達からすれば特殊な力を持つ伝説の存在でした。そして同じく伝説の存在である、ドラゴンのようなレナトという生物がいます。この二点から感じられる王道ファンタジー感はファンタジー好きからすれば興味をそそられることでしょう。
物語の始まりは、国王の命令でレナトに乗ってやってきた軍隊がイオルフ達を捕らえることから始まります。王族が不老長寿になれるようにという考えからです。結果的に軍隊の手から逃れたマキアは独りぼっちとなり、そんな時に、野党に襲われて母親を喪った赤ん坊を拾います。
マキアは母として赤ん坊のエリアルを面倒見ることに。
冒頭は引っ込み思案でまだまだ子供っぽいマキアですが、物語が進むごとに強くなっていきます。まさに母親としての成長を見ているようで心温まります。
ですが話が進んで次第に大きくなったエリアルは、やがてマキアに複雑な感情を持つ。その姿は見ている人にも複雑な気持ちにさせてくれます。
マキアとエリアルの想いはすれ違い、何とも息苦しい。まるで現実の本当の親子のようです。そう、血は繋がっていなくても本当の親子に違いない。
物語の後半は苛烈を極めます。
複雑な感情など一切なく、あるのは親子の絆、そして新たな想いのみです。
イオルフであり母親のマキアと、人間であり彼女の子供のエリアル、そんな二人の終着駅は?
キャラクターもストーリーも音楽も、そして声優さん達の演技も、どれも至高の一作。
ぜひ観てほしい作品です。

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝
9

母の愛

見た目が若いまま長寿の命をもつイオルフの一族である少女マキアと、人間の赤ちゃんが出会うシーンは大きな運命を感じました。赤ちゃんは男の子で、エリアルと名付けて一生懸命育てていくマキアの姿に感動します。

1人1人登場人物たちの感情が伝わってきます。時が流れていけばいくほど、気が付けばマキアと同じ位にまで成長をするエリアル。エリアルは思春期だってあるし、それでなくても訳ありの親子ですから反発してしまう場面もあります。
視聴者としては、マキアの気持ちも、エリアルの気持ちも、痛いほど分かってしまうので涙が溢れます。一人で一生懸命育てたエリアルが大人になって、いつしか奥さんと子どもという大切な家族ができます。こうやって人間は成長していくんだと改めて思いました。そして、母親の偉大さや大きな愛情、愛ゆえに叱ってしまうことや言えないこともあるのだと思いました。

マキアに密かに想いを寄せていたラングがとても良い人です。マキアが好きだからこそ、エリアルに対して強く言うこともありますが、それも彼の優しさなのだと思いました。ラストは涙なしでは観られないです。マキアとエリアルの回想シーン、エンディングの曲に号泣必見です。

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10

岡田磨里が描ききった、限りなく透明度の高い「愛」の話

人気脚本家・岡田磨里の初監督作品、というパワーワードがどうしても先行してしまう本作。クリエイター自身へのイメージ・先入観も強いため、正直それほど期待値を上げずに見に行きました。……が、良い意味で本当に最高の形で期待を裏切ってくれました。
若い姿のまま数百年を生きる長寿の一族「イオルフ」の少女マキア。思わぬ敵の襲撃により故郷を追われ、ひとりぼっちでさまよう先で出会ったのが親を殺された赤ん坊の男の子。その子をエリアルと名付け、自分が母となり、育てることを決意したところから話は展開します。
先述したように、マキアは外見的に年をとりません。普通に年を重ねていく息子と、15歳の少女のままの母。最初は「親子」だったふたりは、年齢を重ねるにつれ、見た目がどんどん逆転していき、それに伴い、ふたりの関係性、心中も複雑に変化していきます。血のつながりの有無だけがすべてではないのに、誰よりもたくさんの愛情を注いでいるのに、どうしても、ただの親子にはなれない。その切なさ、苦しさ、でも絶対的な「帰る場所」である大きな大きな存在感。そのあたりの(切なくなりすぎず、恋愛脳的な軽い話にはせず、という)描き方は、本当に岡田磨里やっぱりすごい!と感服するしかありませんでした。
ファンタジー要素も多分にある作品ですが、設定がややこしい、難しいと思うことは一切ありませんでした。P.A Worksが作るアニメーションのクオリティももちろんですが、そのあたりにも、脚本家・岡田磨里の手腕が存分に発揮されているのではないかと。
そして、エンドロールでは「演出」に長井龍雪さんのお名前も。チーム秩父(でいいのかな?)が集合しているんだな、ということもわかり、物語の奥行き(演出の上手さ)が圧倒的だった理由もわかりました。
とにかく、素晴らしい作品でした。アニメファン以外の方に、ぜひだまされたと思って見てみてほしいです。

さよならの朝に約束の花をかざろう / さよ朝
9

思ったより泣ける!アニメ映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」

劇場で鑑賞しました。
YouTubeの公式PV動画を観た時は、よくある母と子の出会いと別れをテーマにしたファンタジー映画かなと思いました。
なんとなくで観に行ったのですが、お話が思ったより完成度が高く、ハンカチ片手にずっとエンドロールまでずっと魅入ってしまいました。
PVでも示唆していた母と子の「出会い」と「別れ」は大きなストーリーの流れでしたが、それ以外にも「長命の種族」という存在を巡って展開する人間の争い、長命であるがゆえの宿命など、ファンタジーに中々疎い自分でも入り込めるテーマ・構成だったように思いました。
またアニメ映画ではかかせない声優さんも素晴らしく、ラストの母と子のやりとりは思わずぼろ泣きしてしまいました。
監督は「あの花」の脚本を手がけた岡田麿里さんの初監督作品とあとで知ったので、改めて完成度に驚きました。
今後も岡田さんの作品に是非期待したいと思います!
【作品概要】
人里離れた土地で、日々の出来事を織りながら静かに生きる長寿の種族「ヒビオル」。
十代半ばの外見で数百年の寿命を持つ彼らは、「別れの一族」と呼ばれ、人々の間で生きる伝説とされてきた。
親のいないひとりぼっちの少女「マキア」は、仲間達と穏やかな日々を過ごしながらもどこか寂しさを感じていた。
そんなマキア達の元に、イオルフの長寿を狙う「メザーテ」の軍勢が襲いかかる。
仲間とはぐれ、本当の「ひとりぼっち」になったマキアは、逃げ延びた暗い森で、同じく親を亡くした「ひとりぼっち」の赤ん坊と出会う。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い、時代を超えて紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。

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