MONSTER(漫画) / モンスター(漫画)

『MONSTER』(モンスター)とは、1994年12月~2001年12月まで『ビックコミックオリジナル』(小学館)で連載された、浦沢直樹による青年漫画である。コミックスは単行本全18巻、完全版全9巻が刊行され、累計発行部数は2019年3がつ時点で2,000万部を超えた。人の犯罪衝動を見抜いて自在に操る少年ヨハン・リーベルトを救ったために、数々の殺人事件に巻き込まれた日本人医師ケンゾー・テンマが、自責の念から警察に追われながらもヨハンを探す姿が描かれている。本作は冤罪や猟奇殺人など様々な社会問題をテーマにしたサスペンス要素が強い。1999年に「第3回手塚治虫文化賞」の漫画大賞、2000年には「第46回小学館漫画賞」の青年一般部門を受賞した。2004年4月から2005年9月まで、原作を忠実に再現したテレビアニメが6クール放送された。また2005年12月28日、29日にテレビアニメを前後編3時間に編集した総集編が放送された。テンマの声を木内秀信、ヨハンの声を佐々木望が担当した。

MONSTER(漫画) / モンスター(漫画)のレビュー・評価・感想

MONSTER(漫画) / モンスター(漫画)
10

その怪物を倒せるのはさらなる怪物だけ

原作は浦沢直樹の漫画「MONSTER」。全74話にもおよぶ大長編アニメですが、一気に見てしまうほど引き込まれるものがあります。
「怪物」の名を恣にするサイコパスの少年と、彼に陥れられ、無実の罪で指名手配をされてしまったことで
復讐を誓い、自らも「怪物」になる決意をした元主治医の脳外科医。
ふたりの人生が、周囲の人々の人生も巻き込んで複雑に交差していく過程は緻密に伏線を張り巡らせながら、まさしく風呂敷が広がっていくような形で、大きく、めまぐるしく進行していきます。
あまりにもめまぐるしいため、見ていると「この風呂敷は、たためるの…?」と疑問も湧いてきますが、取りこぼすことなく伏線のすべてを回収し、最後には見ている人にすべてを委ねるリドル・ストーリーとして鮮やかに幕を引いていて、
単にアニメとしてではなくミステリ、サスペンス作品としても非常に優秀な物語です。
登場人物一人ひとりのキャラクターがしっかりと立って魅力にあふれており、メインキャラクターだけでなく、主人公のDr.テンマが旅をしている過程で出会う、いわゆるモブキャラのような人物たちですら、後で再登場した際に「この人、誰だっけ…?」に陥ることはまずありません。
原作があると、アニメ化や実写化にあたって大幅な改変が行われて乖離が生まれてしまう、というのもよくある事態だとは思いますが、こちらはほぼ改変なく忠実にアニメ化されており、すでに原作を読んでいる人でも楽しめる仕上がりになっていました。
あまりないサスペンスジャンルのアニメを探している人や、とにかく見ごたえのあるアニメを探している人に大変おすすめな作品です。

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9

ミステリアスなストーリーに引き込まれる

『MONSTER』は『20世紀少年』などの代表作を持つ浦沢直樹の漫画を原作とするアニメで、ベルリンの壁崩壊よりさらにあとのドイツやチェコが舞台となっています。
現実にもありうるようなスパイ・軍人育成も盛り込まれており、近代のヨーロッパ史が好きな人も楽しめるのではないでしょうか。

この作品の魅力は、深い闇にどんどん沈み込むような物語展開です。
凄腕の脳外科医である主人公・テンマケンゾウが少年の命を助けたことがきっかけで、テンマが苦悩していきます。そもそもテンマは「医者の鑑」とも言えるような謙虚な性格で、患者のために力を尽くすことに重きをおいていますが、院長命令に従ったことで1人の患者を死なせてしまいます。
そんな言いなりのような状況から抜け出すため、テンマ自らの意思でその少年・ヨハンを生き返らせました。しかし、そのヨハンは多くの人を殺してきた過去があり、そんな罪人にテンマの患者も殺されてしまう事態となります。
「どうしてそんな過去があるのか」「目的はなんなのか」と、さまざまな考えが巡り、どんどん引き込まれる作品です。

浦沢直樹の画力が素晴らしいことは言うまでもなく、日本人であるテンマ、ドイツ人のキャラクターたちの豊かな表情も見どころだと思います。

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8

大人向け!アニメで本格ミステリー。

よく大人向けアニメでおすすめされる『MONSTER』がすごかったです(原作浦沢直樹)。
主人公のテンマは日本人でありながらドイツの大病院に務める天才脳外科医。院長の娘エヴァと婚約し、将来を約束され、一見すると順風満帆なテンマ。
そんなテンマの勤める病院に、ある日男の子(ヨハン)と女の子(アンナ)の双子が運ばれてくる。ヨハンは頭に銃撃を受けており、アンナは精神的にショックを受けた状態。
テンマはヨハンの手術を成功させるのだが、ヨハンとアンナは姿を消してしまいます。その後テンマの周りで不可解な死を遂げる事件が次々と起こる。
助けたヨハンはとんでもないモンスターだった…?!というのが始まりです。

そのモンスターにより、テンマの人生は一転します。
そしてテンマのヨハンを追い詰める旅が始まるのですが、ここに関わってくる人間模様が面白いです。
最初嫌な奴だった人が、話を重ねる毎に深みが出てきて、どんどん愛着が湧いてきます。
MONSTERには悪人が数多く登場しますが、悪人のバックグラウンドも非常に深く掘り下げられています。根っからの悪人、いわゆる絶対悪は存在するのか?もテーマの一つになっているのかと思います。

心情風景や、多くの伏線、キャラクターなど非常に魅力的なMONSTERですが、かなり話数が多いです。全部で70話以上はありますので、時間に余裕を持ってじっくり視聴することをおすすめします。

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10

真犯人を追う医者と刑事の物語

物語はドイツとチェコを舞台に繰り広げられる。天才脳外科医の主人公Dr.テンマはある日院長の命令を無視して頭を銃で撃たれた子供の手術を行い、出世街道から外されてしまう。それから数年経ったある日、テンマが執刀した患者が病院を抜け出す。患者を追ったテンマが廃墟となったビルでその患者を見つけるとその患者は何者かに銃殺されてしまう。暗闇から現れたその犯人は、テンマが救った子供が大きくなった青年であった。実はその子はとんでもない殺人鬼Monsterだったのだ。テンマは自分が救った子供が殺人鬼であったことを知り、その子を止めようと奔走する。しかし、テンマのいく先々で多くの命が奪われていく。それと並行してルンゲという刑事がテンマの周りで起きる殺人事件を追っていく中で、犯人がテンマではないかと考える。テンマは二重人格者で本当はテンマのもう一つの人格が殺人を犯していると推理する。自分がMonsterの命を救ったことで多くの命が奪われていくことを止めようと奮闘するテンマと、そのテンマを追うルンゲ。果たして真犯人はテンマの追う青年なのか、ルンゲの追うテンマなのか。本当のMonsterは誰なのか。最後の最後まで真犯人を追う2人の攻防にドキドキが止まらない最高の作品です。

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8

サスペンスが好きな人へ

浦沢直樹のサスペンス作品『Monster』。原作は漫画で、アニメ化もされました。私はアニメの方を見ました。

ドイツのとある病院で、天才と呼ばれた日本人脳外科医の天馬賢三(てんまけんぞう)が院長の指示を無視し、"ある少年"をオペしました。
天馬は少し前から院長の指示によってオペの順番を変えられていました。それを院長に質問したところ"命は平等ではない"と言われ、その事にずっと疑問をいだいていました。そしてそこに運ばれてきた少年と少し後に運ばれてきた市長。 院長は市長のオペをするように命に優先順位をつけ天馬に命令しましたが、天馬は彼なりの答えをだし本来の順番通りオペをしました。少年は助かったものの市長は亡くなりました。もし天馬がオペをしていれば市長は助かっていたかもしれないと院長に言われ、天馬は降格させられます。
数日後、何者かの手によって院長と他2名が毒殺され、天馬が偶然にも出世しました。そのせいで容疑者にされますが勿論彼はそんな事をしていません。同時期に彼が助けた"ある少年"が精神的ダメージを負った双子の妹と病院からいなくなりました。
その出来事から9年後、天馬がオペしたのはとある事件の犯人でした。ある夜その犯人が病院から抜け出し、とある廃墟ビルに行きます。その犯人を追っていた天馬は廃墟ビルにて銃を持った"ある少年"を目にし絶句します。しかしその少年は丁寧な口調で話し始め、最後にその犯人を天馬の目の前で打ち殺します。
ある少年とは9年前に天馬が院長の指示を無視し、助けた少年でした。彼が成長し連続殺人犯となり、あの廃墟ビルで天馬と再会します。
そして天馬は全てを捨て"ある少年"の命を奪うと決意します。といった感じで"ある少年"に命を与えたせいで何人もの人が殺され、次第にモンスターと呼ばれるようになり国をも動かす存在になります。それを止めるために与えた命を奪おうとする天馬。
登場人物の言動には魅力があり飽きることはありません。真実が明かされたり、国をも動かすと呼ばれた少年の過去がわかったりする場面は見どころです。