ミステリアスなストーリーに引き込まれる
『MONSTER』は『20世紀少年』などの代表作を持つ浦沢直樹の漫画を原作とするアニメで、ベルリンの壁崩壊よりさらにあとのドイツやチェコが舞台となっています。
現実にもありうるようなスパイ・軍人育成も盛り込まれており、近代のヨーロッパ史が好きな人も楽しめるのではないでしょうか。
この作品の魅力は、深い闇にどんどん沈み込むような物語展開です。
凄腕の脳外科医である主人公・テンマケンゾウが少年の命を助けたことがきっかけで、テンマが苦悩していきます。そもそもテンマは「医者の鑑」とも言えるような謙虚な性格で、患者のために力を尽くすことに重きをおいていますが、院長命令に従ったことで1人の患者を死なせてしまいます。
そんな言いなりのような状況から抜け出すため、テンマ自らの意思でその少年・ヨハンを生き返らせました。しかし、そのヨハンは多くの人を殺してきた過去があり、そんな罪人にテンマの患者も殺されてしまう事態となります。
「どうしてそんな過去があるのか」「目的はなんなのか」と、さまざまな考えが巡り、どんどん引き込まれる作品です。
浦沢直樹の画力が素晴らしいことは言うまでもなく、日本人であるテンマ、ドイツ人のキャラクターたちの豊かな表情も見どころだと思います。