「アイアンマン」の第2弾
マーベルが着々と進めていった「アベンジャーズ」映画化作戦の、今となっては中核としての地位を不動のものにした「アイアンマン」の第2弾が、この「アイアンマン2」だ。
引き続き、キャプテン・アメリカや、マイティ・ソーなどが映画化され、マーベル的に、ここはきっちり成功しておきたいところだっただろう。
ご存知の通り、前作は期待を上回る面白さだった。
何が面白いといって、ガレージでアイアンマン・スーツをバージョンアップさせながら、完成させていく、 Do It Yourself な感覚とか、主人公のちゃらんぽらんなキャラクターとか、もちろん、それを演じるロバート・ダウニーJr. その人の個性が、渾然一体となった演技が際立っていたと思う。
気楽に楽しめる、コミック原作のヒーローものとしての絶妙なバランス感覚とか、あまり欲張らずにコンパクト、かつスピーディにまとめ上げた娯楽職人的センスとか、挙げればきりがない。
そういう様々な要素が絡まって、非常に楽しい1本であった。
続編はどういう手でくるのか?
それが今回の続編の楽しみの一つでもあったが、蓋を開けてみれば、非常にオーソドックス、予算にモノを言わせた、派手な物量作戦なのであった。
こういうのは、通常はダメな続編にありがちなパターンだ。
だが、どうだろう。そもそも小難しい映画じゃないのだから、むしろ、こういうあっけらかんとやらかしてくれるのも悪くないんのではないか。
言葉を換えるなら、分をわきまえたものとでも言えないだろうかと思うのだ。
前作の面白さの根本的なところに、あまりに複雑になってしまったコミック・ヒーローものを、本来のあるべき単純な世界へと引き戻したことがあったとすれば、成功した娯楽映画の、続編のシンプルな王道をやるのがこの作品のあるべき姿なのかもしれない。
そういう意味からして、映画の完成度では、前作に遠く及ばない。
だが、これはこれで楽しい映画であると思う。
ロバート・ダウニーJr.がいて、強い敵がいて、新しいキャラクターや新型メカがいっぱい登場して、派手な見せ場が盛りだくさん。
正直、相当欲張った、全部盛りである。
ジョン・ファブロー監督の偉いところは、これだけの内容を約2時間の尺にきっちりと収めてみせるところだ。
こういう職人的な見識と手腕は、大作といえば、大した内容でもないのに、やたらとダラダラ長いのが幅をきかせる昨今にあって、高く評価したいポイントだ。
逆に、残念に思うことがあるとすれば、主要キャラクターで役者の交代があったことだ。
ドン・チードルは嫌いではないが、顔の形といい、体格といい、テレンス・ハワードのほうが役にあっていたと思う。
予告編を観た時には、なんだか汚らしい格好をしたミッキー・ロークが、半裸で暴れているだけで不安にさせられたが、この男、自分が暴れるだけではない知能犯なのであった。
クライマックスでは、陸海空各種タイプを取り揃えたロボット軍団が大暴れする。
大方の予想どおり、重武装をまとったウォーマシンも登場し、ミッキー・ロークも巨大なアーマーを身に纏って参戦。
等身大ロボットの大激突映画というジャンルでは、フィル・ティペット渾身のゴー・モーションによる、クライマックスが素晴らしい金字塔「ロボコップ2」に並ぶほどの見応えがあったと思う。