東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0

東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0

『東京マグニチュード8.0』とは2009年7月から9月までフジテレビのノイタミナ枠で放送された防災や家族愛を描いたテレビアニメ。平成21年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞している。巨大地震により甚大な被害を受けた東京の街を舞台に、1人の少女と被災者の視点で物語は進んでいく。夏休み初日、弟悠貴のお守りでお台場のロボット展を訪れた小野沢未来は最大震度7の大地震に突如襲われる。当たり前だと思っていた家族との日々を大切に感じるヒューマンドラマ系アニメ。

東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0のレビュー・評価・感想

東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0
9

東日本大震災の前に放送された地震を乗り越えようとする姉弟の物語

この作品は東日本大震災が起こる前2009年に直下型地震を予測しながら製作・放送されたアニメで、東京付近が大きな地震で壊滅的な状況になってしまい、そこに2人で遊びに来ていた姉弟が、はぐれたり、避難所へ行ったり、様々なことを乗り越えて自宅に戻ろうとする物語です。

ポイントは、姉である主人公の未来が、つまらない世界なんか壊れちゃえという気持ちを持ち、つまらなさそうに、めんどくさそうに最初はいることと、それに対して弟の悠貴は、姉の機嫌を取ろうとしたり、両親の心配をしたりするなど8歳にしてはとても優しい性格をしているというギャップです。

反抗期の未来は家族に対してもぶっきらぼうな態度をとったりしますが、地震が起きた後は、弟の悠貴や途中で出会ったバイクライダーの真理と帰宅を目指していく中で、弟への態度が徐々に変わっていくこと、未来の家族に対しての気持ちが変わっていくその様子が描かれているのが、姉弟の性格のギャップも相まって、家族としての物語を胸に熱く感じます。

1話は、未来が思っているつまらない生活と、地震が起こった瞬間だけが描かれているのですが、2話からの展開には涙なしには見ることができません。多くの視聴者が8話から最終話まで常に泣き続けたと言われています。
また、このアニメは、ただの泣ける物語ではなく、地震災害で起こる建物の崩壊意外にも、二次被害についてなども描かれ、防災対策がいかに大事か学ぶこともできます。

このアニメを見た後多くの人が、防災用品を揃えたそうで、教訓になるアニメとも言われる理由がわかるでしょう。まだ見たことない人には必ずみてもらい、今後の人生に生かして欲しいと思える内容です。

東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0
9

大人こそ見るべきアニメ

このアニメは『実際に東京でマグニチュード8.0の首都直下型地震が起きたら』というシミュレーションをもとに作られた作品です。被災した中での主人公である女の子"未来"の心情の変化や家族愛がメインで語られています。
未来はごく普通の中学生。年頃ということもあって、家庭やこの世の中に不満を抱いているようでした。ツンケンして大人に素直に甘えられない、でも言い返すこともできず従うしかない、といった複雑な心情を持った姿は、いつかの自分を見ているかのようにリアルです。そんな未来は弟と二人で出かけたお台場で被災してしまいます。
震災の状況はひどいものでした。実際にこれが起こるかもしれないと考えるだけで怖くなり震えてしまいます。そんな中で目立ったのは醜い大人たちの姿。誰もが生きるのに必死で余裕がないのが見て取れます。子供である未来と弟が必死に生き抜こうとしている中、こんなに汚い大人たちがいていいものかと、考えさせられる場面が多くあります。また、そんな汚い大人とは裏腹に未来たちとずっと一緒にいてくれた"まりさん"。まりさんは自分の家庭が心配であるにもかかわらず、未来たちの面倒を見てくれるとても優しい人でした。未来と弟、まりさんの3人がお台場から無事に自分たちの住む町に戻るまでの道のりがいかなるものか、そして彼女たちの心情の変化を見届けてほしいです。
被災した時、大人はどのように動くべきか、どうあるべきかについてひどく考えさせられる作品です。

東京マグニチュード8.0 / Tokyo Magnitude 8.0
8

フィクションでありながら身近にあること

この作品は、東京で大災害が起こった場合にどのようになるのか?というフィクションのアニメですが、非常にリアリティがあるため引き込まれます。
災害が起こる前の主人公の「未来」は日々に物足りなさを感じていました。弟の「悠貴」にもそのような不満から八つ当たりをしています。そんなとき、二人は巨大な地震に見舞われました。人々はパニックになり一心不乱に逃げまどいます。しかし真理さんに出会って二人は救われて、人の温かさを感じる場面もあります。「真理」さんのような大人がいなければ二人は助からなかったでしょう。このようにならないように何か対策が必要だと感じたり、自分だけ助かろうとする人々だけでなくて真理さんのような他者と助け合うことがとても大切であると感じました。未来はこの経験を通して、家族の大切さやどれほど恵まれている環境の中にいるのであろうか、よく実感したのではないかと思います。誰しもが身近にある当たり前のものであると感じている家族や友人、食べるもの、着るもの、寝るところがあるということを忘れてしまっていると思います。このアニメを観て、普段自分がどれだけ恵まれた環境の中にいるのか実感できるよい機会になりました。このアニメは実際起こったら…ではなく、起こる可能性があるからこそ、たくさんの方に観ていただきたい作品です。