HELLSING

HELLSING

HELLSINGとは1998年から2009年まで平野耕太により「ヤングキングアワーズ」で連載されていた漫画及びそれらを原作とするアニメ、OVA作品である。舞台は20世紀末の、不可解な吸血鬼事件が頻発するイギリス。大英帝国王立国教騎士団、通称「ヘルシング機関」に所属するアーカード、インテグラ、セラスの3人を主軸に展開する吸血鬼との闘争を描いたバトルアクション漫画である。

HELLSINGのレビュー・評価・感想

HELLSING
8

人間に憧れて死を望む化け物 VS 化け物を越えたい人間。本当に勝ったのはどっち? ※全般的にグロ注意

はじまりの吸血鬼であり、作中では無類の強さを誇る主人公・アーカード。化け物と異教徒を切り捨て続けるバチカン第13課の神父・アンデルセン。この2人と、「ナチスが南米に逃げた」という都市伝説に基づきキャラ付けされた旧ナチス親衛隊・ラストバタリオンが文字どおり血みどろの争いをする作品です。

アーカードはイギリス国内の架空の政府機関・ヘルシング機関に属するメンバーであり、国内で頻出している化物退治を行っています。その任務の中で出会ったのがアンデルセン。アンデルセンは人間ではあるものの化物級の能力を持ち、時にはアーカードを追い詰めることも。そんな彼と対峙したことで、アーカードは約1世紀ぶりに自身の「死」が近くまで来ていることに気づき、喜びを感じます。

その対峙に第3勢力として加わったのがラストバタリオン。かつてアーカードが血を吸った女性の体を使い、吸血鬼を量産。彼らを兵士にし、イギリスを襲撃。物語の中盤以降はヘルシング機関・バチカン・ラストバタリオンの3者が、ロンドンが殲滅してしまうくらいの戦闘を行うという展開になります。

作中を通じ、アーカードは「人間らしさ」を追い求めています。だからこそ、作中でアンデルセンが人間ではなくなった瞬間に、子供のようなさみしい顔をして怒り狂ったのです。「人間に殺される」という彼が望んだ死が遠のいてしまったので…。

最終的にアンデルセンは死に、ラストバタリオンもいなくなり、アーカードも一瞬いなくなったものの死んではいません。人間らしさを追い求めた彼は、生き残ったものの本当の望みは叶わず。登場人物全員が幸せに死ねたかどうかは、はっきりと書いていません。

ちなみに作中毎回誰かの体はもげ、画面はしょっちゅう血に染まるので、グロ耐性は必須です。

HELLSING
10

オタクなら必修科目、あの有名な台詞「よろしい、ならば戦争だ」の元ネタ作品!

英国王立国教騎士団・通称『HELLSING機関』、ナチスドイツの敗残兵によって結成された戦争集団ミレニアム、そして国教騎士団と対立関係にあるカトリック・ヴァチカンの直属機関イスカリオテの三つ巴が織り成す吸血鬼と人間の華麗なる戦争物語!
原作者、平野耕太の大仰で演劇めいた通称「ヒラコー節」が数多のコアなファンを獲得した同作者の代表作であり最高傑作。
古くからのオタクの支持を一心に集め、まだ読んだ事のない人達も一度は台詞やワンシーンを見た事があるに違いない。
作者の豊富なミリタリー関連の知識によって、ド派手ながらもリアルに描かれる戦闘描写は圧巻。
そしてシリアスな展開を思わせながら時に惜しげも無く捩じ込まれるギャグシーンは、読者の読むテンポを小気味よく掻き乱す。
主人公格である、HELLSING機関に使役される最凶の吸血鬼アーカード、吸血鬼絡みの事件に巻き込まれそのアーカードによって吸血鬼となった婦警セラス・ヴィクトリア、HELLSING機関のトップであり吸血鬼アーカードの現主であるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの三人を中心に物語は進行していくのだが、この三人がミレニアムとの戦争においてそれぞれに成長し、覚醒していく様はラストに向かうにつれ読む者の心を鷲掴む。
また、物語終盤に語られる『人間であり続ける事の強さ』についてのアーカードの言葉は、当たり前に人間である我々にとってハッとさせられる内容であり、単なるバトルアクション漫画の域を超えた深いテーマを感じさせられる。
「諸君、私は戦争が好きだ」、「よろしい、ならば戦争だ」、の台詞で有名なミレニアムの指揮官・少佐が語る一見狂っているかのように思える言葉の数々も、イスカリオテ所属のアーカードの宿敵アレクサンド・アンデルセン神父の狂気じみた信仰に満ち満ちた台詞達も、時に深く考えさせられる内容が要所要所に散りばめられている。
行き過ぎた個性によって彩られるキャラクター達は、サブキャラクターに至るまで強烈なインパクトで飽きさせることなく我々を楽しませてくれるだろう。
この作品を知らずして、オタクを語るなかれと言っても過言ではない本作。
決して読んでも損する事はないと、読んだ誰もが約束するだろう。

HELLSING
10

主人公最強系でいちばんおもしろい漫画

ヘルシングは主人公のアーカードが最強の漫画です。しかしよくあるケータイ小説やライトノベルのような御都合主義の展開が続くような漫画じゃありません。ヴァチカン特務局第13イスカリオテのアンデルセン神父、最後の小隊の少佐など、それぞれ確固たる信念を持った魅力的な敵が登場し、アーカードに圧倒的な強さで敗れていきます。ただただ主人公が無双していくこの物語を魅力的にしているのは、台詞回しのうまさにあるでしょう。「諸君、私は戦争が大好きだ。」などは有名ですので聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
この少しくどくて、どこか古臭い。だけれど何故かカッコいい独特の台詞回しで進んでいく物語は、一度読み出したらやめられません。全10巻とそこまで長くもないので、一気に全巻読めてしまうこと間違いなしです。特に後半7〜10巻の怒涛の展開は凄まじく、かっこいいキャラとかっこいいキャラの掛け合いを延々と楽しむことができます。全ての戦闘シーンで「ここがこの漫画で一番熱い!!!」と思っても、次の戦闘シーンがそれを楽々と超えてくる。その繰り返しです。
とにかく全員かっこいい、全員最強に見える。けどやっぱりアーカードが一番強い。そんな漫画です。

HELLSING
8

OVAの出来が素晴らしい

1990年代のアニメ放映終了後よりOVAシリーズであるUltimateシリーズが開始されたのですが、まずファンを卒倒させたのがOVAの発売頻度であることは言うまでもありません。
OVAは漫画原作と同様の10巻構成なのですが、凡そ次のOVAが出るまでに短くて1年、長いと1年半程度待たされてしまう状態でした。
しかし、OVAの内容はその発売頻度の不安を一切かき消してしまうほどの出来栄えでした。
地上波放映版は最終的にアニメオリジナルの展開となったこともあり、OVA版は原作に忠実に描かれております。
何より絶賛されるべきは1~10巻まで10年以上をかけたのに、出来栄えがそこまで変わらないことといえます。
OVA中盤になってくると大掛かりな戦闘シーンも増えていくのですが、見栄えはそのままに細かいところへの描写もぬかりなく実施されており素晴らしいとしか言えません。
後半にかけて戦闘のスケールが大きくなり、一部CG等も使用されております。

原作にて映像化自体が難しいとされた部分も繊細に描かれており、製作者様の情熱が伝わってくるようです。
そもそもの内容などもあり、万人受けする内容ではありませんので評価を8にしておりますが、非常に熱のこもった良い作品だと信じております。

HELLSING
10

見て損はなし!

笑いあり、シリアスあり、燃え要素あり、一言で例えるならばまさにヒラコーワールド全開の作品と言えるだろう。もしあなたが、平野耕太氏の作品を知らないのであれば、この機会に視聴をすることをお勧めします。
この作品は、少年画報社のヤングキングアワーズで1997年5月2日から2008年11月号まで連載されていた作品であり、少々古く感じられるかもしれないが、間違いなく最高の作品と言える。
主に20世紀末のイギリスを舞台とし、大英帝国の王立国教騎士団、通称「ヘルシング機関」に所属するインテグラ、アーカード、セラスの3人を主軸に展開する、吸血鬼と吸血鬼ハンターとの戦いを描いたバトルアクション漫画である。
「平野節」と呼ばれる作者独特の過激な台詞回しが大きな特徴である。
題名の「ヘルシング」はブラム・ストーカーの恐怖小説『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物ヴァン・ヘルシング教授に由来し、ヘルシング教授の子孫が主人公の1人インテグラとされる。
作者本人の過去の作品からの登場人物(名前、外見問わず)の流用が多く、また、ナチスの残党やイスカリオテ機関などの設定の原型も同様に見られる。
2001年にゴンゾ・ディジメーションによってテレビアニメ化され、その後は2005年にサテライトによってOVA化されている。
米国では、2003年から英訳単行本7巻が刊行され、2006年には大手出版業界関係とNBCの協力で行われる「クィル賞」の「読者が選ぶベスト本」ベスト・グラフィックノベル部門に『NARUTO -ナルト-』と並んでノミネートされた。また、日本でも2006年「日本のメディア芸術100選・マンガ部門」で22位に選ばれている。