ふつうの軽音部

ふつうの軽音部

『ふつうの軽音部』とは、原作:クワハリ、作画:出内テツオによる日本の漫画。2023年1月7日より9月18日までウェブコミック投稿サイト『ジャンプルーキー!』に投稿された。2024年1月14日からウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』にて、配信されている。『ジャンプルーキー!』版は全22話あり、原作担当のクワハリが作画も行っていた。『少年ジャンプ+』版は『ジャンプルーキー!』をベースとしているが、細かいセリフ描写が変更されたり、新たなエピソードが補完的に追加されたりしている。また、一部のキャラクターの設定や描写も変更された。渋めの邦楽ロックが好きな大阪在住の女子高校生・鳩野ちひろ(はとのちひろ)は高校に入学し、赤いフェンダー・テレキャスターを携えて軽音部に入部する。そこで同じクラスとなった陽キャ女子・内田桃(うちだもも)やバンドを組みたいと言う幸山厘(こうやまりん)など、様々な軽音部員と出会い、多くの経験を経て成長していく。

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ふつうの軽音部のレビュー・評価・感想

ふつうの軽音部
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音楽と青春が共鳴する『ふつうの軽音部』の普通じゃないバンドストーリー

『ふつうの軽音部』は、音楽好きな高校生たちの日常と成長を描いた青春コメディです。クワハリ原作、出内テツオ作画によるこの作品は、音楽の力と友情の深まりが魅力的に描かれ、邦ロックファンや青春ストーリーが好きな読者に刺さる作品です。物語は邦ロックに憧れ、ギターを購入した主人公・鳩野ちひろが、高校の軽音部に入部するところから始まります。

最初にちひろを待ち受けているのは、個性豊かな軽音部の部員たち。内気な彼女はメンバー探しやバンドの方向性に頭を悩ませますが、少しずつ音楽を通じて自分を表現し始めます。この過程がとても丁寧に描かれており、音楽に対する情熱と仲間との成長を楽しむことができます。音楽活動だけでなく、思春期の不安や友情の深まりも描かれており、音楽という共通の言語を通じて絆が強まっていく様子は感動的です。

特筆すべきは、音楽シーンの描写。作中では、ライブ演奏や練習風景がリアルに表現されています。特にギターやドラムといった楽器の扱い方、演奏シーンの迫力が視覚的にも楽しめます。邦ロックを愛するちひろの音楽観や音楽への熱い想いが、読者にも伝わってくるのです。

この作品のもう1つの魅力は、キャラクターの個性と成長です。鳩野ちひろは内向的で、音楽に対しては熱いものの人間関係を築くのが苦手な普通の女の子。しかし、バンド活動を通して、彼女は徐々に自分の殻を破り、音楽で自分を表現する力を身につけていきます。特にバンドメンバーとのコミュニケーションや音楽を通じて築かれる友情が作品全体に温かみを与えています。

また、物語のペースも良く、テンポよく進む展開が読者を飽きさせません。コメディ要素もふんだんに盛り込まれており、笑いと感動のバランスが絶妙なのです。ちひろと仲間たちが繰り広げる日常の掛け合いが読者を引き込んでくれます。

『ふつうの軽音部』は、音楽と青春をテーマにした作品の中でも、心に残る一作です。音楽を通じて成長する高校生たちの物語に、きっと心が震えるでしょう。

ふつうの軽音部
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これが本当のリアルな等身大軽音部

『ふつうの軽音部』は、とある高校の軽音楽部の日常を主人公・鳩野ちひろを中心として描かれている作品です。
音楽を題材にした作品は多いですが、基本的には世界が舞台などスケールが大きいものや、登場人物がぶっ飛んでいてキャッチーなものが大半です。
しかし本作は、とにかくリアルな部活動と高校生活を描いており、ドロドロした生々しい人間関係もあれば、本気で部内のバンド活動にのめり込んでいく青春成長要素もあり、第三者として物語を追うよりも誰かに感情移入して追っていくのが楽しい作品です。
軽音楽部ならではあるあるネタも軽音楽部では無かった人にもありそうと思える範囲であり、そこに誰もが経験したような高校時代あるあるも合わさり、更に登場人物がは絶妙に「こんな奴いたなぁ」となれる人物がほとんどで、物語への入り込みやすさが徹底されています。
もうひとつ良い点を挙げるなら、本作は軽音楽部ならではということで沢山の邦楽ロックバンドの名前や曲名が実名で登場します。年代も色々な年代に刺さるラインナップなので自分の青春時代を思い出しながらそうしたバンドや曲名を楽しむこともできます。
総じて本作は、センセーショナルな設定や展開は無く派手さはないですが、その分読み手がこの世界に没入しやすく、またテンポも良いのでどんどん読み進めてしまう中毒性があります。学生時代に音楽にのめり込んでいた人や、劇的なドラマよりもリアルな青春を読みたいと思った人にはとてもオススメな作品です。

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