愛溢れ、様々な感情に共感:感情学ぶ漫画
矢沢あい著書の漫画『ご近所物語』はとてもお勧めです。主人公の実果子と、その幼馴染のツトムの恋愛物語です。
幼い頃からずっと一緒に居たツトムを恋愛対象から外していた実果子は、専門学生になってから急にモテ出したツトムに苛立ったり、他の女の子と一緒に居るのを見て腹が立ったりするのです。周囲からは好きなのではと言われますが、ツトムを恋愛対象としたくない為、頑なにそれを否定するのです。
一方ツトムは実はずっと実果子を想っているのですが、実果子に対する好意を態度で示すことはあっても、言葉にできないでいます。また、2人が通うのは芸術を生み出す学校です。そこで知り合った友人達と自分達で作った物を売るサークルに入ります。そのサークルに入った事で、互いを好きな感情を再確認する場面があります。
物語が進む中で、様々な事件が起きます。実果子が助けてほしい時や、何でもない時も常に実果子の側に居るのはツトムなのです。特に助けてほしい時や事件の時に頼れるのはいつもツトムな事に気付き、嫉妬をしている事にも次第に気付いた実果子は自然とツトムを好きな相手と認識します。そこから両想いになるまでも楽しんで読めます。
幼馴染みから今更過ぎる恋愛関係に照れてしまったり、幼馴染から恋人としての振る舞いに困惑したり、互いの親に今更付き合ったと言えない等問題が出てきます。
2人の幼馴染から恋人に進展する話が主ですが、登場人物達の恋愛や友情、将来の不安など様々な心情・進展も注目です。色々な事柄に関し、個性豊かなサークルメンバーの心情には読者も感情移入したり、とても共感できたりしますよ。
また、実果子の父親探しを行って再会したシーンは泣けます。更にその後に実果子の父親がとる行動にも泣けることでしょう。
実果子はひねくれた素直でない自分の性格が好きではありません。実果子は「ツトムは私にうんざりしないの?」と思う場面が多々あるのです。読者も、自分を好きになれない時に誰かにそう感じた経験がある人もいる事でしょう。
この漫画は主人公だけでなく様々な登場人物の心情が上手く描かれ、恋愛漫画を越えて、もはやヒューマンストーリーな漫画です。自分を見つめ直す事も描かれていますし、諦めない事や自分の信念を曲げない事等、色々な事柄も描かれています。何よりも様々なキャラクター達の愛情深さがとても良く伝わってくる漫画です。
この作品を読んで色々な愛の形がある事や、自分を客観視する事、諦めない事の大切さ、素直になる大事さ、愛の尊さをとても感じられる、生き方の教訓になる様な感情溢れたストーリーがたまりません。
愛情の本質が分かる作品ですし、自分を俯瞰するきっかけになると思います。
愛ある登場人物達に涙する場面も、コミカルな面も多い為楽しく読めます。最高の漫画だと思います。自信を持ってオススメします。読んだことのない、あなたに是非読んで貰いたい作品です。より、豊かな感情が持てるでしょう。