氷の城壁

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『氷の城壁』とは阿賀沢紅茶によって、2020年から「LINEマンガ」に連載された青春恋愛漫画である。高校を舞台に、主人公・氷川小雪がさまざまな人物や出来事を通して、心の中の壁と向き合っていく。その中で互いのすれ違いや思い込みなどの人間関係の歯痒さ、友情から恋愛への気持ちの変化、言葉にならない感情と向き合い成長していく姿を丁寧に描いた作品。

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氷の城壁のレビュー・評価・感想

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「正反対な君と僕」作者・阿賀沢紅茶先生の前作「氷の城壁」について語る

「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」にて2位を受賞した阿賀沢紅茶先生の作品、「正反対な君と僕」は、掲載が「ジャンプ+」なのも相まって認知度はかなり高まっていると思う。では、その前作「氷の城壁」とは一体どのような話なのだろうか。

1.「氷の城壁」のあらすじ
中学時代に人間関係で失敗したため、家から遠く離れた高校に入学して1年生の末まで周りと関わることなく過ごしてきた「氷川小雪」が、階段の踊り場で本作の主人公の1人、「雨宮湊」に話しかけられるところから物語は始まる。この氷川小雪、雨宮湊に小雪の幼馴染である「安曇美姫」、湊と美姫の中学校からの友人「日野陽太」を加えた4人を主人公として展開していく青春群像劇である。
2.「氷の城壁」の見どころ
「氷の城壁」を読むにあたって注目してほしい点が2つある。
まず1つ目は色遣いだ。WEB漫画の流通とともによく見られるようになったカラー漫画だが、「氷の城壁」は一味違う。作者のセンスなのだろうが、キャラクターが着ている服や小物、背景などに目を引く色が散りばめられており尚且つ散らかっていないのだ。背景が基本的にシンプルなのは一般的に欠点になることが多いが、この色遣いによってバランスを取る材料となっているのである。また、作者の初連載ということもあり絵がどんどん上手くなっていくところや、キャラクターのデフォルメが非常にかわいいことも併せて注目してほしい。
2つ目は心理描写。恋愛を中心とした青春群像劇なので、心理描写がお粗末では話にならないのは当然である。だがそれにしてもこの作品に出てくる言葉たちは、今の若者たちだけでなく昔の若者たち、つまりは大人になった我々の言葉にできなかったモヤモヤを言葉にしてくれているといっても過言じゃない。私が特に気に入っているのは「「良い所」なんて誰にだってあるよ」という台詞だ。一般的には「悪い所なんて〜」という人を許すために使われることの多い表現だが、「良い所」があれば相手を許さなければならないのかと投げかけているのだ。相手を責めるより相手を許す方が気楽と感じる人の多い日本人には身につまされる言葉ではないだろうか。
3.「氷の城壁」はどうやって読めるのか。アニメ化はあるのか。
「氷の城壁」は「マンガMee」や「LINEマンガ」での連載だったが、「ジャンプ+」や「ピッコマ」、「コミックシーモア」や「マンガ王国」など多くのアプリやサイトで掲載されている。上手く駆使すれば短い期間で全話無料で読むことも可能である。
また、連載期間は2020年1月から2022年4月までだったが、2023年7月に「正反対な君と僕」の4巻の発刊と同時に集英社より単行本1巻が発刊された。縦スクロールマンガのため単行本は厳しいかと考えていただけにファンにとっては喜びもひとしおだったろう。紙派の人や一気に読みたい人にはお勧めだ。
「氷の城壁」はアニメジャパンが開催している「アニメ化してほしいマンガランキング」で2023年に2位を受賞しているため、アニメ化を望むファンが多くいることは間違いない。しかし、アニメ化の情報は出ていない。同作者の「正反対な君と僕」も「次にくるマンガ大賞2022 WEBマンガ部門」2位や「このマンガがすごい2023オトコ編」9位などアニメ化の登竜門となる賞を受賞しているため、単行本と同様に同時アニメ化も期待できるのではないかと思う。

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