Thisコミュニケーション

Thisコミュニケーションのレビュー・評価・感想

Thisコミュニケーション
10

完璧に合理的な主人公と死なない少女たちの化け物退治

イペリットという謎の生物に人類がほぼ絶滅まで追い詰められた世界の話です。イペリットによるものと思われるガスで人類の生息域も標高の高いごく一部のエリアに限定され、その最後の砦かもしれない研究所に主人公である1人の軍人がたどり着くところから物語は始まります。
主人公のデルウハはどうも食事にこだわりがあるようで食糧が尽きて死を選択しますが、ギリギリ死ぬ前に研究所に発見されました。研究所ではイペリットと対抗すべく造り出された怪力の少女たちが6名おり、軍事施設ではない研究所を守っていました。しかしそれを束ねることのできる者はおらず、思春期真っ盛りの少女たちは気難しく神経質で、また、自分たちを異物として距離を置く研究所の人間との関係もあまりよくありません。無軌道にめいめいにイペリットに向かい危なっかしい戦い方をし、死にます。
少女たちの怪力を目にした主人公はこれは素晴らしい戦力だと目を輝かせますが、何ともおそまつな戦い方とうっかりあっさり死ぬ有様をみて愕然とします。しかし研究所の所長は「彼女らは8時間後に蘇生する」と説明します。それを聞いた主人公はとても良いことを聞いたというように、彼女らの死と蘇生を意図的に操作し、イペリットに立ち向かいます。
死なない少女と合理的な軍人がお互いにお互いを振り回し振り回され、フィナーレに向かってどんどん話が展開していきます。何が正しくどこが狂っているのかすべてが正しいのか間違っているのか。全12巻、ずっと面白い漫画です。

Thisコミュニケーション
8

アニメ化不可能!?合理的バトル&コメディ漫画!

人を食う怪物「イペリット」に支配された地球。軍人のデルウハは僅かに生き残った人々を探すため、長野県の雪山を訪れる。
そこで見つけた村では、「ハントレス」と呼ばれる6人の少女が生存者を守る姿だった。

ハントレスの正体は人体改造を受けた人間。人智を超えた戦闘力と死んでも生き返る再生能力が備わっている。日々イペリットと戦っているが、年頃の少女たちは仲間と団結することを拒否して自分勝手に振る舞うばかり。
性格も能力もバラバラ、統率が取れずいつもギリギリの戦いを繰り返し、このままでは村が滅ぼされるのも時間の問題。
そこでデルウハはハントレスのもうひとつの特性、「死ぬと一時間分の記憶を失う」という体質に目をつけた。

「俺は誰から殺せばいい!?」
都合の良い“コミュニケーション”の記憶だけ残してハントレスの士気を高めるため、デルウハがイペリットと少女たちを殺って殺って殺りまくる!
そのおかげでハントレスはデルウハを信頼し始めるが、もし記憶消去を悪用していることがバレたら一転して命の危機に陥ること必至。
果たしてデルウハはイペリットたちを退け人類を救うことができるのか、それとも全てが知られハントレスに逆襲されるのか。

女子高が舞台のドタバタコメディとパニックホラーと心理戦バトルが同居した、誰も見たことがない漫画がここにある!
全12巻で完結しているので、一気読みもおすすめ。

Thisコミュニケーション
10

今までにないジャンルのおススメ漫画「Thisコミュニケーション」

ジャンプスクエアで2020年から連載されている六内円栄先生の漫画「Thisコミュニケーション」。
謎の生命体「イペリット」によって人類が滅ぼされかけている21世紀が舞台で、サイコパスで最低な軍人が不死身で凶暴な女戦士たちの指揮官になり、「イペリット」との戦いに身を投じる。

昔は漫画は紙だった。新作号の発売を楽しみ書店に行ったものだ。最近ではスマホで簡単に漫画が読める時代。ありとあらゆる漫画が数話無料で楽しめる。なんと便利なことか。ただ私は紙の漫画の方がなじみがある。

さて、ストーリーは元軍人・デルウハが日々の食事の保証と引き換えに6人の不死身の少女たちと、謎の生命体「イペリット」を倒しながら彼女たちをまとめ上げていくというもの。

電子版で本作を初めて読んだとき、ありえない設定に衝撃を受けた。仮死状態になると、約1時間前の時点の状態で復活するという特徴を持つ少女たちを、自分の都合が悪くなったらデルウハが殺して記憶をリセットするというのだ。

現実の世界でも多くのビジネスマンが直面するであろうチームマネージメント。年を取るにつれ役職があがり、チームをまとめる難しさを痛感する。うまくいくときもあれば、1つのことを失敗し気が付けば取り返しのつかない状態になることもある。その時、あーリセットボタンがあったらと何度も思っただろう。
それを殺し=リセットとは。主人公のチームマネジメントとリセット方法が毎回すごい。
あっという間に1巻を読み終わり気が付くと次に次にと読み進んでいた。

最近の流行である転生ものや、アングラ系とはまた違った面白さが魅力の作品。
現在連載中だが、コミックスは全8巻まで出ているので一気読みするのにもお勧めである。