ゆゆ式

ゆゆ式のレビュー・評価・感想

ゆゆ式
10

これぞザ・日常系なマンガ作品!

この作品は、「まんがタイムきらら」(芳文社)に連載されている作品で、2013年にアニメ化もなされています。簡単なあらすじとしては、野々原(ののはら)ゆずこ、日向縁(ひなたゆかり)、櫟井唯(いちいゆい)は、とある高校の「情報処理部」(硬派な名前とは裏腹に3人がその日決めた「テーマ」をインターネットで調べるだけの部活動)に所属する女子高生。この3人を中心に、学校での休み時間、部活動、3人の内の誰かの家などを舞台に、取り留めのない会話や雑談が交わされ、まったりとした日常が続いていく…という作品です。

この作品の一番の面白さは、主人公であるゆずこ、縁、唯の3人による息の合ったボケとツッコミのマシンガンのような応酬です。ゆずこの突拍子もないボケ→縁がボケに便乗→唯がツッコミを入れるという流れが基本ですが、縁が変化球のようなボケを突然入れてきたり、唯が2人のボケに悪ノリして加わったり、逆に2人からツッコミを受けたりする場合もあります。3人の立場が話によって変化することで、ストーリー展開がワンパターンに陥ることがない点がこの作品の魅力なのです。また、部活動の場面で3人がインターネットで得た情報をそれぞれ語るシーンがあり、ちょっとした豆知識(トリビア)が増えるという利点もこの作品の魅力です。

冒頭でも述べましたが、日常系作品を数多く連載している同誌の中で、この作品は「日常系の王道を行く作品」です。バトル、ファンタジー、SF、恋愛などの非日常的要素を含む作品やシリアスなストーリー展開の作品を好む方には、物足りなさを感じるかもしれません。深く考えることなく作品を読み進めていきたい方(シンプルな作品が好きな方)、様々な要素が絡み合う作品の合間に日常系作品を読んでいきたい方(ちょっとした息抜きに日常系作品を読みたい方)にオススメしたい作品です。

ゆゆ式
5

なーんつってつっちゃった♪

「なんつって」「なんつってっつっちゃった」「え?」「なーんつってつっちゃった♪」というやり取りの後、何も起きない。
これがテレビアニメ「ゆゆ式」をおススメする理由だ。

前述した「なーんつってつっちゃった♪」は、登場する女子高生3人がダラダラ話しているなか、ちょっとすべったギャグに対しつい「なんつって」と濁した際に生まれたリズムである。

「『なんつって』って言っちゃった」を「なんつってっつっちゃった」と言い躍る。
この妙な心地よさをもつ言葉のリズムに虜になり、そして大爆笑する。

何が面白いか困惑するであろう。
こんなこと日常でも起こり得るだろうが、起こったとしても誰になんと伝えていいかわからなくなるだろう。

だが「ゆゆ式」はそんな日常の些細なおかしさを丁寧に拾う。
気づけばこちらも「なーんつってつっちゃった♪」と口ずさんでしまう。

主人公の3人の女子高生は、ただ日常を過ごしてるだけである。
何も特別なことはしていない。
学校に行き、授業を受け、部活に行き、帰る。時々一緒に遊びに行く。

その中で「なんつってつっちゃった」が生まれる。

日々起こり得るからこそ見逃してしまい、いざ人に話したとしても「くだらない」と一蹴されてしまう。
それでも、日常では楽しいことが起きている。
小さすぎて見逃しているだけだ。「何も起きない」が「起きている」。

それを見逃すことは、非常に「ゆゆ式」事態である。