NOPE/ノープ / Nope

NOPE/ノープ / Nope

『NOPE/ノープ』とは、ジョーダン・ピール監督の長編映画の第3作であり、2022年製作のアメリカのホラー映画である。ジョーダン・ピール監督は『ゲット・アウト』や『アス』で高い評価を受けた監督だ。この映画は、広大な田舎町で牧場を経営するヘイウッド家の兄妹が、突如現れた不気味な飛行物体をめぐる謎を解明しようとする過程を描いている。しかし、彼らの試みが予想をはるかに超える展開を迎え、さらなる不可解な出来事が彼らを待ち受ける。キャストには『ゲット・アウト』で知られるダニエル・カルーヤが兄OJを演じ、キキ・パーマーが妹エメラルドを演じ、スティーブン・ユァンも共演している。
その独特のホラーと社会的要素を組み合わせたスタイルが注目を浴びた。また、撮影には一部のシーンがIMAXカメラで収録された。そのため、超高解像度の映像が作られ、映画をより立体的に感じることができるようになっている。日本での興行収入は、3億9000万円である。

NOPE/ノープ / Nopeのレビュー・評価・感想

NOPE/ノープ / Nope
8

「狭く広大な舞台にミステリーを不気味に浮かべる、評価されるべきSF・ホラー」

「NOPE/ノープ」は2022年アメリカ制作のSF・ホラー映画。2017年「ゲット・アウト」をはじめとして注目されるジョーダン・ピールが監督の長編第3作目。主演はダニエル・カルーヤ。

舞台は牧場経営で生計を立てるヘイウッド家の在る田舎町。父と兄妹の3人で営み、調教した馬を映画撮影用に貸し出すことを長年の生業としていた。しかしある時突然、牧場の上空からの落下物に衝突し、父は命を失う。兄弟は牧場を引き継ぐが、経営はままならず。そして牧場では奇妙な停電現象や、何かを察知したのか馬が逃げ出す不審な夜が訪れる。そのなか、兄のOJは雲に隠れた正体不明の物体に気付く。

UFOがクローズアップされるSF作品は多々あれど、この映画ではその正体不明な不気味さが終盤まで連続するミステリーの要素があり、それを個性あるキャラクターたちが解き明かそうと奮闘する。またミステリーが向こう側からやってくる、というハラハラする展開が面白い。広大な田舎の闇夜の風景に溶け込んだ”何者か”に怯える馬の描写にも、息を呑む恐ろしさが演出されている。

ストーリーの背景には映画社会と人種差別の風刺も見え、それがスリルホラーの悲惨さとしても存在し、だがコミカルな演出との絶妙なバランスも感じられる。深堀りしようとすれば様々に要素が散りばめられていることに気付くが、段落的に構成された進行の展開が、考えを巡らせる余地を与えてくれているようにも思う。

残念ながらアカデミー賞でのノミネートはなかったものの、批評家らからは絶賛する声が大きい。この映画を観れば、評価が足らないことに納得がいかないはずだ。

NOPE/ノープ / Nope
9

これは令和版の「未知との遭遇」なのか…

ホラー映画という括りなしで惹かれる要素がたくさんある映画。
「映画の起原」を主張する人間たちに、キャトルミューティレーションを仕掛けてくる空からの「何か」。一見穏やかな牧場の風景や僻地の荒野にかかる巨大な未知の生物の影がとても不気味。
人種差別などの社会風刺も感じさせながらもシンプルでエンタメ性がとても高く、見せ方も往年のパニック映画のようです。

予告編の時点で超常現象的な場面が数多く見られますが、本編でも期待を裏切らない展開と怖いもの見たさを刺激してくる怪現象の映像の連続。
ありえないと頭で思っていることと、鑑賞側が無意識に見世物として扱って下世話に期待していることが本当に何度も起こるので、見たいと思っていたことが実際に起きてしまいます。
ラストには未知の生物がはっきりと姿を現し、人喰い生物と化して襲い掛かってくるシーンがあり、そこでこの映画の中で続いてきた緊張感がMAXになります。

いい意味で予想を裏切られる展開の連続で全編面白く観られます。エンドロール後のおまけ映像のアレが本当に某所に存在しているのが、ネタなのに鑑賞後もじわじわと怖いです。追体験している間に気づけば終わっているので、もう一度見たくなり考察したくなる作品です。