音楽や声優陣による耳心地の良い映画
この映画はジブリ作品では珍しい90歳の老婆が主人公。実際には若い女性だが魔女の呪いにより老婆の姿にされているという始まり。内容もさることながら、作中のBGMや起用されている声優陣にも注目してほしい。作品名にもあるハウルの動く城が現れる場面では、城という名のガラクタが動く音がリアルに再現されている。ここでリアルというには語弊があるかもしれないが(現実にガラクタの城が動く音を聞いたことはないので)、本当にガラクタでできたお城があったらこんな音がするのだろうと想像してしまうような音が流れてくる。その他にもシーン毎に流れてくるBGM、街で聞こえる賑やかな音楽を遠くで鳴っているようにすることで主人公の孤独感を演出したと思うと、次はハウルに出逢い煌びやかで舞踏会のような音楽を流す。こういった緩急も引き込まれる要因の一つ。さらに声優陣では主人公ソフィを演じた倍賞千恵子さんの落ち着いた、それでいて透明感のある声はもちろん、ハウルを演じた木村拓哉さんの自信たっぷりの演技や、頼りなく情けない少年の声の使い分けなど見どころ、いや聞きどころはたくさんある。美輪明宏さんの恐ろしい魔女声から可愛いおばあちゃんや神木隆之介さんの可愛らしい声、そして忘れてはいけない最後の最後に、なんと大泉洋さんも出てくる。そんな耳心地良い時間を味わえるこの映画をぜひ観てほしい。