ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~

ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~

『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』とは、2020年に一迅社ノベルズより出版された中村颯希による中華ファンタジー小説、およびそれを原作とした尾羊英作画のコミックスである。雛女(ひめ)と呼ばれる皇帝のための、皇后候補となる高貴なる娘たちの一人、黄家の雛女である主人公玲琳(れいりん)は、病弱ではありながら、殿下の胡蝶ともてはやされ、殿下の愛を一身に受けていた。しかし、それをねたんだ宮中一の嫌われ者、朱家の雛女である慧月(けいげつ)によって塔から突き落とされ、玲琳に成り代わりたいという彼女の願いによって互いの身体を入れ替えられてしまう。気がつけば、玲琳は慧月の姿になっていた。牢に入れられ、死刑を宣告されると思いきや、病弱であった頃の鋼メンタルを利用して、その逆境を次々とはねのけていく玲琳。入れ替わりの事実は不思議な術によって話せないものの、慧月の健康な身体を手に入れ、玲琳は喜びの内に日々を暮らしていく。そしてこの顛末の真の黒幕を突き止め、おいつめる玲琳は、自分を殺そうとした慧月との友情も生まれ、大逆転勝利を収める。大人気中華後宮入れ替わり譚。

ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~のレビュー・評価・感想

ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~
10

身体を入れ替えられた方が歓喜する痛快ストーリー

皇后候補が住まう後宮が舞台の物語です。
主人公である玲琳(レイリン)は病弱な体でありながらも、後宮の誰もが認める美貌と実力を兼ね備えており皇太子からの寵愛も受けています。
皇后になるのは彼女だろうと周囲も噂をするほどでしたが、ある日、候補者たちの中で1番劣っていた慧月(ケイゲツ)によって身体を入れ替えられてしまいます。
慧月は玲琳を貶めたこと、欲しくてたまらなかった皆からの寵愛を受ける立場になれたことを喜びます。
しかし、予想以上の玲琳の病弱さにとこに伏せってしまい、皇太子からの寵愛を受けつつも必死に病と戦う日々を送るようになってしまいます。
反対に、玲琳はこれまでと打って変わって周囲から蔑みの視線と言葉を受けるようになってしまったものの、
そんなことを気にする精神の持ち主ではありませんでした。
そんなことよりも、自身の体が健康であることに歓喜し、病弱な自身の身体を慧月に押し付けてしまったことを悪く思いながらも全力で慧月の体での生活を謳歌し始めます。
そこから、病弱で儚い見た目だった玲琳は実はど根性魂燃えたぎる精神の持ち主で、
なおかつ、頑固で度胸の座った明朗な女性だったことが分かっていきます。
また、慧月の体になった折、「この悪女が!」と罵られるも、そんなこと初めて言われたとむしろ喜び、
「不束な悪女でございますが」なんて答える天然な一面ものぞかせます。
さらに作画が綺麗なところもまたキャラクターたちの魅力をより引き出しており、大変見応えのある作品です。