プラットフォーム(映画)

プラットフォーム(映画)のレビュー・評価・感想

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プラットフォーム(映画)
7

地下深くまで続く穴で目覚める男たち。そこでは1日1回、地上から食べ物が送られてくるが、その目的はなんなのか。限られた空間、食糧、人間が取る行動とは。

奥深くまで続く穴で目を覚ます主人公。目の前には見知らぬ老人と、1日1回の食事のみ。食事は地上から地下333階まで順に降りていくが、地下に行けば行くほど食事は当たらなくなる。同じ穴の老人は無我夢中で食事をするが、主人公は下の階にいる人たちのことを思うと、食べる気にはならなかった。
そんなとき、食事と共に、子どもを探しているという女が降りてくる。どうやら穴のどこかに子どもがいるというが、他の穴の人によれば、未成年は穴に入らないという。それでも子どもを探す女は、目の前を通り過ぎて地下深くまで降りていった。
滞在する階は、数日に1度ランダムで変更される。最初は食事のあたる上層階にいた主人公だが、次第に残飯もあたらない下層階になり、他の人から食糧として見られるようになる。最初は親切だった老人も、下層階では人を食べる殺人鬼になるのだ。そんな中で、穴の本当の目的がわかりはじめ、脱出への計画が始まる。

閉鎖空間や、その時の状況で全く違う人格に変化する様子が面白い。上層階にいる時と下層階にいる時とで、考えや行動が全く違っており、人間は状況によって変わるものだということがよくわかる。
「みんな平等に」という言葉は、上層階の人間にも下層階の人間にも届かない。平等を実現するためには、強引な行動であっても、最終的には救われているという事実があることで正当化されている。
他人に分け与えることや、思いやることは、まず第一に自分が満たされていることが必要だと感じた映画だ。
シチュエーションから恐怖を感じるところが面白かったが、オチを理解するのは難しく、不完全燃焼といった感情で終わってしまったところが残念であった。

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7

資本主義を破壊せよ!社会を変える究極のSFスリラー作品

ガルダー・ガステル=ウルティア監督によるSFスリラー作品。資本主義や階級差別等の社会風刺をSFの設定にうまく落とし込み、徹底的に皮肉したストーリーは観るものの価値観を揺るがすこと間違いなし。

今作はショッキングな描写が多々あるが、特にホラー・スプラッター映画の定番になりつつあるカニバリズム(食人)表現には力が入っている様子。カニバリズムは本来、故人の叡智だったり魂だったりを食すことで受け継ぐといった意味合いがあるので、それをさらっとではあるが主人公・ゴレンが理解し、実際に遺志を継いで行動をしていたところは良かった。

しかし、ストーリーや表現で矛盾点や説明不足な部分があることも否めない。ガルダー監督はこれが初の長編作品な為、仕方ない部分もあるが気になってしまう方はとことん気になってしまうと思う。また、先述の通り、カニバリズムを含め、生理的に気分が悪くなってしまうような表現や描写が多いので、苦手な方は注意が必要だ。

ただ、様々な要素を詰め込んだにも関わらず94分という映画にしては比較的短く、鑑賞しやすい時間にまとめたのはさすがの一言。
娯楽映画として十分に楽しめる出来なので、グロテスクな表現に抵抗がない方、気になった方は是非観て頂きたい1本である。

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4

後味が悪いというより終わり方の意味がわからない映画。

映画のジャンルは「サスペンス」
牢獄の様な場所でワンフロアに2人、1階上層階から333階まで大きな台座に乗った食事が順に運ばれてくる物語。
下層階へ行けば行くほど食事は減り地獄の様な格差が待ち受けている。
滞在する階層は1カ月おきにランダムで決まり、催眠ガスが出て目覚めると新しい部屋に切り替わっている仕組み。
設定が斬新で面白く、見入ってしまいましたが、終盤になるにつれ、誰が何のためにこの施設を作り、
ここにいる人はどんな素性なのかの説明が乏しく、このまま終わってしまうのか?!と不安になりながら、案の定そのままモヤモヤと「なぜ」で終わる映画。
「このあとはそれぞれで考えてね」的な投げっぱなしの、映画にほったらかされた感じです。
途中までの内容が面白すぎて、同じ状況下でも連帯感は生まれない、
富豪(上層階の人間)がいれば貧民(下層階の人間)がいる、そして中間に位置する人間、現実社会の縮図の様です。
殺人や人肉を食べるシーンが多く、苦手な人にはお勧めできないです。
上層階から順に運ばれてくる大量の食事はどれも綺麗に盛り付けられ美味しそうです。
牢獄の様な薄暗い場所に豪華な食事のミスマッチ感が逆に良いと感じました。