プラットフォーム(映画)

fuchan_y153のレビュー・評価・感想

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7

地下深くまで続く穴で目覚める男たち。そこでは1日1回、地上から食べ物が送られてくるが、その目的はなんなのか。限られた空間、食糧、人間が取る行動とは。

奥深くまで続く穴で目を覚ます主人公。目の前には見知らぬ老人と、1日1回の食事のみ。食事は地上から地下333階まで順に降りていくが、地下に行けば行くほど食事は当たらなくなる。同じ穴の老人は無我夢中で食事をするが、主人公は下の階にいる人たちのことを思うと、食べる気にはならなかった。
そんなとき、食事と共に、子どもを探しているという女が降りてくる。どうやら穴のどこかに子どもがいるというが、他の穴の人によれば、未成年は穴に入らないという。それでも子どもを探す女は、目の前を通り過ぎて地下深くまで降りていった。
滞在する階は、数日に1度ランダムで変更される。最初は食事のあたる上層階にいた主人公だが、次第に残飯もあたらない下層階になり、他の人から食糧として見られるようになる。最初は親切だった老人も、下層階では人を食べる殺人鬼になるのだ。そんな中で、穴の本当の目的がわかりはじめ、脱出への計画が始まる。

閉鎖空間や、その時の状況で全く違う人格に変化する様子が面白い。上層階にいる時と下層階にいる時とで、考えや行動が全く違っており、人間は状況によって変わるものだということがよくわかる。
「みんな平等に」という言葉は、上層階の人間にも下層階の人間にも届かない。平等を実現するためには、強引な行動であっても、最終的には救われているという事実があることで正当化されている。
他人に分け与えることや、思いやることは、まず第一に自分が満たされていることが必要だと感じた映画だ。
シチュエーションから恐怖を感じるところが面白かったが、オチを理解するのは難しく、不完全燃焼といった感情で終わってしまったところが残念であった。