現代の日本人全員が観るべき映画
私は正直、この映画をみるまで水俣病のことは小学校の授業で少し習った程度の上、
自分が生まれる何十年も前のことだったので自分には関係のない遠い昔の出来事ぐらいの認識だった。
でも違った。水俣病に苦しんでいる人は今でも沢山いて、そしてこのような公害は世界中のいつどこでも起こり得る出来事だった。
そして今、私たちが当たり前のように新鮮な食物や安全な水が飲めるのは、間違いなく水俣病含め公害に対して戦ってきてくれた人たちがいたからだ。
公害の原因を作ったのは人間だが、それを止めてくれたのも人間。
もし当時の人達が戦うことを放棄し、泣き寝入りするような状態だったら被害はもっと拡大していただろう。
それこそ、現代を生きる私たちも当事者になっていたかもしれない。
だから、過去にこの映画のように諦めずに戦ってくれた人々には感謝しかない。
だが、今が平和だからといって今後必ずしも公害が起こらないとは限らない。
地球温暖化のようにゆっくり着実に訪れる公害もあれば、福島第一原発事故のように突然来る公害だってある。
私達は、きっといつか必ずそれらの当事者になる。
その時、はたして水俣病に立ち向かった人々のように戦うことができるのか?
いや、本来ならば今すぐにでも立ち上がって公害が起こらないように戦うべきなのでは?
環境問題やその他の問題については偉い人がなんとかしてくれるだろうと他人任せにし、それらのニュースを聞いてもどこか他人事だった。
でもきっとそれじゃダメなんだ。
水俣病に立ち向かった人々のように、これから先の未来を生きる自分たちが、そしてこれから生まれてくる新しい命が笑顔で暮らせるように行動しないといけない。
そこに関係のない人なんかこの世のどこにもいなくて、誰もが加害者であり同時に被害者で。
上手く言葉に出来ないが、今この世界の問題から決して目を背けてはいけない。そう思わせてくれたのがこの映画だ。
特に最後のエンドロールで流れる世界中で起きた公害の写真がその思いをより一層強めてくれた。
私が知らないだけでこんなに多くの公害が起きていて、そしてきっと今もどこかで苦しんでいる人がいると思うと心がとても痛んだ。
公害はもはやその国だけの問題じゃない。
世界の問題で、国とか人種とか関係なくその問題にみんなで立ち向かって助け合えるような社会。
それこそが本当の意味での持続可能な社会なのではとふと思った。
勿論そんな簡単なことではない。でも、簡単じゃないから、限りなく不可能だからと言って何もしなければ本当に不可能になってしまう。
一人一人の力がどれだけちっぽけでも、行動しなきゃ何も始まらない。そんなメッセージも感じられた映画だった。