原作とは異なる味わい
日本でもベストセラーとなった話題のフェミニズム小説の映画版である。
主人公のキム・ジヨンは、ある日を境におかしな言動を始める。彼女が、彼女自身ではなく、誰かにのりうつられたように話すのだ。それは彼女の母だったり、曾祖母だったり、先輩だったり、彼女の周りの女性たちだった。
原作を概ね踏襲しつつ、原作とは異なる新たなキムジヨンの将来も描かれており、より明るいエンドになっていた。原作ではほぼ登場しなかった夫が、より重要な役どころとなっている。韓国で社会現象を引き起こしたドラマ、トッケビの主役を演じたコンユさんが夫役となっている。ネット上で、原作よりも夫が良い風に書かれていることについての批判も目にしたが、監督がインタビューで答えているように、現代社会でのフェミニズムに対する男性の立ち位置の変化が表現されている、という風に私は好意的に感じた。
原作との違いについて、人によって感じ方は様々であると思うが、女性だけでなく、男性も女性差別の問題に関わっていく必要があり、女性対男性という対立構造でなくしていく、新たな時代に入っていくような、そんな新しい社会の在り方をこの映画では見せられたように思う。