私というパズル

私というパズルのレビュー・評価・感想

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私というパズル
7

重い映画ではあるが…

最初の出産シーンがすごくリアルでびっくりしました。ここまで描かなきゃいけないのかなとも思うけど、描かないとこの映画の意味はなかったのでしょう。ほんと出産は命がけで病気じゃないとか誰でもできるとかそんなこと言っていいものではないと思います。あと、本作だと、自宅出産にマーサがこだわっていて、そのせいなんじゃッて思ったりもできます。でも、日本だと出産に一時金が出てお金がそんなにかからないとかあるけれど、アメリカは日本と医療制度が違うので、自宅でしか産めなかったのかしれません。そう思うと、すごく悲しいです。裁判をして、何がしたかったのか、たぶん、事実を明らかにしたい、それだけだったのでしょう。私が子を亡くしたとき、そんなことができるかと言われると、できない気がします。マーサだってすごくつらかったでしょう。夫もつらかっただろうし、マーサの母もつらいし、みんなつらいだろうなとすごく考えさせられる映画でした。主演の女優さんの演技がすばらしくて、虚無感が伝わってきました。あと、りんごがキーアイテムになっていて、それがとてもよかったです。見ていて、りんごの香りが伝わってくるような、そんな感じがしました。重い映画ですが、見てよかったと思います。

私というパズル
9

私の愛する香り

ボストンで暮らすマーサは出産間近。
夫ショーンのサポートも得て、自宅出産を強く望んでおり、その準備も整えてある。
しかしある日突然、『それ』はやって来た。

激しい陣痛。
しかし、どうも様子がおかしい。
激痛が伴い、明らかな難産だ。
それでも自宅出産にこだわるマーサはすぐ助産師を呼ぶが、手配していた助産師は別の出産に立ち会っており、代わりに助産師のイヴがやってきた。
ここから、壮絶な出産が始まるのである。
絶対に、体調が悪い時に見ないで下さい!
見てるこちらの体力が持っていかれるくらいの熱演。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』などに出演していたヴァネッサ・カービー。
今作は間違いなく、彼女の代表作となるだろう。

地獄の痛みを乗り越え、やっと出会えた愛娘。
しかし、産まれたばかりの我が子の様子がおかしい。
イヴはすぐさま応急処置し、救急車も駆け付けるが、愛娘と一緒に居られた時間は無情なくらいほんの束の間だった。

生きる事は不条理で、時にはどうにもならない事もある。
しかし、それらのピースが私というパズルの完成させるのだ。

私というパズル
8

見ていてしんどくなる重さ。

すごく重いテーマなので、見ていてしんどかったです。マーサの思いもすごくわかるんだけど、夫だってつらいし、彼のことを思うとマーサが冷たい気もして。いろんな感情が揺さぶられた映画でした。個人的に最初の出産シーンがすごいです。私も出産経験はあるのですが、すごくリアルというか、なんか見ていられなかったです。長回しで撮影されていて、臨場感抜群。迫力が違いました。その後裁判、という流れはなんとも外国的です。そして、その意味は真実を明らかにするためって母親は言っていたけど、そんなので訴えられちゃうのもかわいそうだし、マーサ、お前が真実を言えよってなりました。もともと、子どもに何かありそうなのに、自宅出産にこだわるとか理解できません。だから、ちょっとこの主人公は私からすると共感はできない部分もあったのですが、それでも子どもを亡くしたことはすごく悲しいし、そんな中生きていかなければいけないだなんて…。さすが、アカデミー賞を受賞したことがある女優さんだけあって、ヴェネッサ・カービーの演技は素晴らしいです。表情をあまり出さない性格の役でしたが、それでも表情一つ一つに引き込まれました。