ソウルフル・ワールド

ソウルフル・ワールドのレビュー・評価・感想

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ソウルフル・ワールド
10

ディズニー映画「ソウルフル・ワールド」が表現する“生まれる前の世界”と生まれたことのないものからみた地上の景色

映画「ソウルフル・ワールド」は、ジャズピアニストになり、ピアノを弾くために生まれたんだと強い志を持つ音楽教師・ジョーが死に直面し、
“生まれる前の世界”で出会った、地上へ行くために必要な“きらめき”が見つけられないソウル・22番との大冒険を描いた作品だ。
本作品は、始まって数分で“生まれる前の世界”に主人公が迷い込む。
そこでソウルたちは地上へ行く準備をしている様子が描かれているのだが、これがファンタジーであるのにリアリティがあり非常に面白かった。
地上へ行くまでのシステムといい、画といい、本当に自分達はここから来たのではないかと感じさせられる。
序盤から視聴者をぐっと引き込む作りで目が離せなくなる。
主人公たちの問いに答えるキャラクターのセリフも印象的だ。
この作品のテーマとなり得る内容になっていて、彼らの経験を踏まえた説得力のある言葉だ。
多くの視聴者の心に刻まれるだろう。
物語の中心であるジョーと22番についてだが、ジョーは一つの夢に向かって人生をかけて取り組む姿が描かれ、
22番は“きらめき”が見つけられず、自分を責めてしまうという姿が描かれている。
この2人の心境に、共感を得られる視聴者は多いだろう。2人の心境がどう変化していくのかも見処だ。
22番はジョーの体を通して地上の生活を体験することになるが、このシーンはかなり感動的だ。
22番の見る地上の景色を見れば、映画を観た後の日常生活に変化があるかもしれない。
2人の立場だけではなく、登場する他のキャラクターの立場から観ても共感を得られるところが多い。
そして、作中でジョーが弾くピアノや、ジャズバンドの演奏も注目してほしい。
全体を通して、テーマが分かりやすいため、子供はもちろん楽しむことができるが、人生についての話でもあるため、かなり幅広い年齢層に響く物語だろう。
是非家族で何度も観てほしい作品だ。

ソウルフル・ワールド
7

夢がなくてもきらめいている。

日常の小さなことがきらめきであり、目標とかがなくてもいいなっていうのがよくわかりました。私も大人になっちゃってそういうふうに思えてなかったので、すごく考えさせられました。22番が、地上で喜んでいるところを見ると、ああ、私はなんてすてきな世界にいるんだってなります。たしかに小さい時は散歩だけでたのしかったもんなと昔を思いだしました。22番は地上に長いこといなかったからいろいろ新鮮だったのでしょう。それがわかっただけでもいい映画でした。ピクサーの作品はいろんなテイストのものがあって、頭の中の話もありましたが、ソウルの話ってのもめずらしくていいです。ソウルと、音楽的な意味でいうソウルもかかっている気がするし、ジャズはあまりなじみがないけど、かっこよかったです。でも、これが夢ってすばらしいみたいな感じで終わっていたら凡作です。そうではなく、何も見出せなくても生まれていいよって言ってくれている気がして、そこがよかったです。ソウルの表現も怖くなく、幽霊って感じでもないけど魂って感じがちゃんとして、そこらの表現はアメリカでも日本でも一緒なのかなってのも興味深かったです。顔もころころ変わるし、人でないものが主役の作品もすごく面白いものだなと思いました。

ソウルフル・ワールド
8

共感できる作品。

ジャズ・ミュージシャンの話であり、音楽がすごく素敵でした。
音だけじゃなく、ジャズを弾く手元もすごく綺麗で、そういうところもこだわってるのがさすがピクサーだなって感じです。
本作は、命を落としちゃった中年がソウルの世界で生き返りの方法を探すというもので、ソウルの世界というのも出てきて、とてもファンタスティックです。
生まれ変わりにはいのちの煌めきを見つけなきゃいけないというのもすごいです。
そういうのが見つからないと、個性が生まれないということでしょうか。
私なんか、なかなかそんなの見つからなくて、ずっとソウルのままな気がします。
何か特別なものが必要なのかなと思いきや、22番はなんでもない日常にときめいていて、ああ、生きているってそれだけできらめいてて素敵なことなんだということを思い知らされました。
それがわかる、とてもいい映画です。
今回、配信サイトでの公開ってなっちゃったけど、ぜひたくさんの人に見てほしい作品です。
中年が主役だなんてそれだけで新鮮だし、あれくらいの年齢で夢を追うべきか、諦めるべきかと悩んでいる人はたくさんいると思います。
きっとたくさんの人が共感できる作品でしょう。私も共感しまくりでした。