ノトーリアス・B.I.G. / The Notorious B.I.G. / ビギー・スモールズ

ノトーリアス・B.I.G. / The Notorious B.I.G. / ビギー・スモールズのレビュー・評価・感想

ノトーリアス・B.I.G. / The Notorious B.I.G. / ビギー・スモールズ
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ポップで郷愁溢れる歌詞

ノトーリアス・B.I.G.のラップは1990年代のヒップホップにありがちな難解な単語を使ったものではなく、寧ろポップで郷愁溢れる至って一般受けしやすいような内容となっています。ストーリーの進め方がとても明瞭なので、1つの楽曲を楽曲全体として捉えるのにもまるで苦労しません。そのような点がノトーリアス・B.I.G.をスターダムにのし上げた要因と言っても過言ではありません。
ノトーリアス・B.I.G.は麻薬の売人の仕事に専念するために通っていた高校を中退し、時に敵対していたラッパーの殺害に関与していたとまことしやかに噂されるなど、日本の芸能界ではまず考えられないアウトローな人物であったのですが、彼の楽曲の歌詞からはそのアウトローな毛色はそれほど感じられませんでした。それに関しては、ノトーリアス・B.I.G.が作詞をしないラッパーであったからこそ、本人のヘビーな生い立ちが歌詞に反映されることが無かったという見方ができます。
もしも1990年代のアメリカのヒップホップを聞きたいと思った場合は、ノトーリアス・B.I.G.の楽曲を聞くのが1つの手です。ラップの魅力に気付き、自分の人生観が変わるかもしれません。

ノトーリアス・B.I.G. / The Notorious B.I.G. / ビギー・スモールズ
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HIP HOP激動の時代のクラシック

HIP HOPの歴史の中で欠かすことのできない重要人物として、ノトーリアス・B.I.G.(ビギー・スモールズ)の名は間違いなく挙げることができるでしょう。
ビギーが活躍した90年代前半は、ニューヨークを拠点とするアーティスト達と、ロサンゼルスを拠点とするアーティスト達が、東海岸VS西海岸という構図で激しく対立しあっていた時代。その渦中で最も注目されたアーティストのうちの一人です。

デビュー前からラップを吹き込んだデモテープが話題になるほど卓越したスキルを持っており、レコーディングの際には、ノートに書きとめたリリックをラップするのではなく、その場で頭に浮かんだフレーズを空でラップしていたという逸話もあるほど。
その様子を側で見ていたプロデューサーのショーン・コムズは、まるで瞑想のようだったと言っています。

ショーン・コムズの激プッシュのプロモーションはビギーの才能を世界に知らしめ、爆発的にヒット。
バブリーなミュージックビデオや、マフィアのような衣装はいささかやり過ぎのようにも思えますが、ニューヨークを代表するキングとしての風格が強調されていました。
実際に、ビギーの巨大から繰り出されるラップには貫禄があり、まだ20代前半だったということが意外に思えるほどでもあります。

銃弾を受けて他界したことで伝説となってしまいましたが、HIP HOPのクラシックとして、人々から愛され、賞賛され続けており、その功績はいつまでも光り輝いています。
関連アーティストによって、生前の音源を使った楽曲がリリースされたり、命日にコンサートが行われるなど、ファンにとってはうれしいイベントも。
HIP HOPの激動の時代を生きたノトーリアス・B.I.G.。彼のラップに込められたパワーを感じてみてください。