ミリオンダラー・ベイビー / Million Dollar Baby

ミリオンダラー・ベイビー / Million Dollar Babyのレビュー・評価・感想

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ミリオンダラー・ベイビー / Million Dollar Baby
10

クリントイーストウッドが贈る名作!名優たちの演技が光るヒューマンドラマ

ボクシングジムを営むダン(クリント・イーストウッド)とエディ(モーガン・フリーマン)。ダンは試合で出血したボクサーの血をとめることができるボ、クシング界では有名なカットマンでした。経営が厳しい男性ばかりのジムに、マギーという女性が弟子入りを志願してきます。最初は頑なに拒んでいたダンも、夢をあきらめないマギーにトレーナーとして契約することを承諾します。毎日、繰り返される過酷な指導に耐え、実力を伸ばしていくマギーは健気です。試合の報奨金を貯め、母に家をプレゼントする家族思いのマギーに反し、生活保護が受けられなくなると文句を言う母の姿に、劣悪な家庭環境が垣間見え、努力し続けるマギーに同情すら感じます。
しかし輝かしい栄光をつかみかけた矢先に、試合相手にケガを負わされ重体となってしまったマギー。首から下が麻痺し、寝たきりになってしまいます。退院したら余生を共に静かに過ごそうと言うダン。献身的にマギーを介護するダンの姿に家族以上の絆を感じずにはいられません。普通の生活すらできなくなってしまった自分に絶望したマギーは、ついに病床で舌を噛み自殺を試みます。絶望の中、涙を流すマギーにダンが下した最後の決断。それは安楽死という道でした。
決して許されない行為を自らの手でくだし、どこかへ去っていくダンと無言でジムにたたずむエディの姿で映画の幕はおります。栄光の影となった女と人生をかけて罪を背負う男の姿が、ボクシングというスポーツを通して壮絶に描かれています。男性も女性も名優たちの演技に目が離せなくなるオススメの映画です。

ミリオンダラー・ベイビー / Million Dollar Baby
8

後半が辛い

前半は、女性ボクサーとコーチのサクセスストーリー、後半は悲劇でした。あまり人に優しくされたことがない者が自分を活かせる場所をさがして、やっていこうと頑張ったのに最後はそれかよと悲しくなりました。でも、現実は甘くはないし、こういう人だからこうとかはなくって、急に辛い立場に立たされたりするものなのだとおもいます。ヒラリースワンク演じるマギーは裏表のない女性でとてもすてきです。でも、いろいろおべっか使えたり、女性らしい方が生きやすい世の中なのかもしれません。そんな彼女と友情とも親子ともとれない関係を築いたフランキーもとても武骨ですてきな人だとおもいました。二人がどんどん仲良くというか信頼していく様が、はでなえんしゅつはないものの見てとれて、ああ、よかったなとおもいます。フランキーの最後の決断はどうなのでしょうか。そんなことしなくてもと思ったりもしますが、マギーを知っているからこその決断だったのかもしれません。それをどうこうはいえないし、クリントイーストウッドがどんな場合でも安楽死賛成とかそういうわけでもないとおもいます。はっきりいって、見ると鬱になる類の映画だとはおもいますが、とても考えさせられる映画だったとおもいます。