ゴールデンゴールド

ゴールデンゴールドのレビュー・評価・感想

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ゴールデンゴールド
9

漫画「ゴールデンゴールド」が人気の理由!

「ゴールデンゴールド」は2015年から講談社の月刊モーニングに連載されており、現在も連載が続いている作品です。2017年から3年連続でマンガ大賞にノミネートもされている人気作です。この作品の舞台は瀬戸内海に浮かぶ「寧島(ねいじま)」に、得体のしれない「ふくのかみ」が現れたことにより、豊かになっていく島を舞台に、人間の葛藤や欲望を描いていくサスペンス物です。舞台で寧島はまさにイメージ通りの離島の田舎で、事の始まりは島に住む本作の中心人物である中学生、早川流花が、海辺で木彫りの置物を拾ったことから物語はスタートする。まさにその置物の正体こそが「ふくのかみ」であり、流花は置物を祠に収め、オタクであり、片思いをしている男の子を島から出させたくないという些細な思いから、「島にアニメイトが欲しい」とお願いをします。そこからというもの、居候をしている親戚の叔母さんの民宿が繁盛をし始め、民宿の事業展開や島の開発事業にまで及ぶようになっていきます。普段のどかな日常の中にじわじわと広がるお金という「富」や「幸福」への執着と気付き、そしてその感情に伴う恐怖そのものが本作の魅力であり人気を得られる理由となっています。

ゴールデンゴールド
10

静かな怖さを感じさせる、目の離せない面白さ

初めて単行本の表紙を見た時は絵柄からブラックギャグ的なお話かなと思って、そういう系が大好きな私は迷うことなく購入しました。ところが良い意味で裏切られたのです。フクノカミの何とも言えない見た目や行動に確かに笑える部分はあったのですが、ギャグ漫画ではなく、薄ら怖い物語で一気に引き込まれました。先の読めない展開と、正体も目的も掴みどころがなく謎の多いフクノカミは、ひたすら夢中で続きを楽しみにしてしまう中毒性があります。フクノカミ自体もですが、人間の持つ欲望の怖さも感じさせられ、一見平和で上手くいっているような日常に崩壊がひたひたと押し寄せてくる不安感が怖い。けれど、とにかく読み応えがあって面白いです。特に主人公のお婆ちゃんの変わり様には目を見張るものがあって、欲望が叶うことで更に欲を増大させて、こんなに人が変わってしまうとしたら怖いなと思いました。最初は田舎のあまり欲のなさそうな普通のお婆ちゃんだったから、尚更その変貌に驚かされました。でも人って誰しも多かれ少なかれそういう願望を持っていて、上手くいってしまう事で欲望も目覚め、持っていた能力もどんどん発揮していきたい欲にも駆られるものなのかななどと考えさせられます。

ゴールデンゴールド
10

新しいタイプの不気味さと怖さ

フクノカミの姿を最初見た時は面白い系の漫画かなと思ったら、不思議な不気味さと人間の怖さ溢れる漫画で引き込まれました。
見慣れるまではフクノカミの姿や行動にちょこちょこ笑ってしまってたんですが、巻数が進むごとに次第に怖さの方が強くなっていきました。
違う種類のフクノカミも出てきたり、物凄い小さな姿でびっしり集まって便座の裏側に張り付いていた姿にはゾッとしました。
正直、何この気味悪さと思いました。
それにフクノカミによって剥き出しにされる人間の欲望も上手く描かれていて、面白い上に凄い漫画だなと感じました。
主人公の琉花と小説家の女性が冷静なのも周りとのバランスが取れていて、読み易いです。
思春期の繊細な感情の揺れとかも上手く描かれてるなと思います。
琉花と小説家の女性がどうにかフクノカミの行動を止めて破滅への道を止められるのか、それとも破滅のラストを見ることになるのか、どっちに転んでも面白そうで、どっちの結果も見てみたい気持ちにさせられています。
ラストに向かってここからどう進んでいくのか、最後はどうなるのかまだまだ予想がつかないので続きが楽しみで堪らない漫画です。
話はとにかく面白いし、絵もクセのない万人受けする絵柄だと思うので、幅広い層に自信を持って薦めたくなる漫画です。