今日も嫌がらせ弁当

今日も嫌がらせ弁当

『今日も嫌がらせ弁当』とは、シングルマザーの母親と反抗期の娘がお弁当を通じて交流する実話に基づくヒューマンストーリー。原作は人気ブロガーKaori(ttkk)の2015年に出版されたエッセイ『今日も嫌がらせ弁当』である。監督・脚本を塚本連平が担当し、篠原涼子主演で2019年6月に映画化された。舞台は東京・八丈島。シングルマザーの持丸かおり(演:篠原涼子)が、反抗期の娘である持丸双葉(演:芳根京子)に対抗して始まった嫌がらせ弁当によって、気持ちが通じ合っていく心温まる物語。

今日も嫌がらせ弁当のレビュー・評価・感想

今日も嫌がらせ弁当
8

自らの反抗期を思い出す

もともと原作の書籍を読んでいたので、凡その内容は予想通りでしたが、お弁当のビジュアルの美しさに焦点が当てられる書籍に対して、本作は、主人公である母親と娘の親子愛がよりリアルに感じられる作品でした。
我が儘で言いたい放題の娘を見ていると、子育てがいかに面倒くさくて大変かを考えると同時に、自分にもこんな時代があって、親を散々悩ませたのだと痛感させられます。子育てとはどうあるべきかを考えさせられる内容で、これから親になる人にも、反抗期真っ只中の学生にもオススメです。
言いたいことがあっても、面と向かって言うのは気恥ずかしい。手紙だとウザがられて読んでもらえない。だから、日々のお弁当で伝えるというのは、母親らしい素敵アイディアだと思いました。毎日、ご飯は食べるわけだから、嫌でも目にすることになるし、工夫の仕方によっては、キャラ弁の力で一目でダイレクトに伝わるのだから。
言葉では「嫌がらせ」と言っても、結局は、母親は何かに没頭することを楽しみ、娘も次にどんなものか楽しみにしてたのではないでしょうか。ベタですが、最後のお弁当には泣かされました。劇中のお弁当はどれもクオリティの高さに驚きますが、もし、自分の親が弁当作りに夜通し励み、体壊してしまうようなら、止めてあげたいところです。

今日も嫌がらせ弁当
7

二つの家族。

シングルマザーのメインの家族の話も、その母親のブログを見ているシングルファーザーの家族の話もどっちもよかったなと思いました。父親の話は、なかなか奥が深かったです。子どもからしたら手の込んだ料理よりも会話の方が大事だったのかもしれません。子どもが父親にママは話を聞いてくれたみたいなことを言ってるのを聞いて、すごく考えさせられました。たしかにそうかもしれません。料理なんてなんでもいいちゃあいいです。嫌がらせ弁当という題で料理が主軸でありながら、こういうことを描いちゃうところがすごいなと思います。
弁当を作る母親の弁当はどれもすごくてびっくりしました。もちろん、キャラ弁にする必要などないとは思います。でも、パカって弁当箱開けた時のインパクトはすごいし、キャラ弁なんて作るの大変だし、毎日毎日すごいなと思います。反抗期の子どもに対する対応としてこれがベストなんじゃないかとも思えました。子どもになんだその態度ってことは伝えたいけど、小言いったり喧嘩したりするより、かわいいものあんまり好きじゃないでしょ、お母さんも反抗してかわいい弁当つくるよのほうが全然平和です。ストーリーも結構しっかりしていておもしろかったです。そんなにうまくいってないし、悲しいこともあるけれど楽しく生きているって感じでした。

今日も嫌がらせ弁当
9

お弁当を通した親の愛

反抗期を迎えた高校生の娘に3年間、キャラ弁を作り続けたシングルマザーの実話を基にした作品。
愛情たっぷりのお弁当を作り続ける肝っ玉お母さんでを演じるのは、篠原涼子さん。
口をまったく聞かない娘にめげず、ひたむきにキャラ弁を通して娘とコミュニケーションを取ろうとする様をコメディタッチに上手く演じています。
そして、そのお母さんに反抗しながらお弁当を食べ続ける娘を演じているのが芳根京子さん。
本当はお母さんのことを大切に思っているのに、素直になれない思春期特有な感じを上手く演じています。
舞台は八丈島になっており、全体的にほっこりしたアットホームな雰囲気がこの作品にマッチしています。
キャラ弁の完成度は高く、その当時流行っていた芸人(小島よしお、スギちゃん)や漢字クイズなど見ていて楽しいものばかりです。
全体的にコメディーなので、思わず声を出して笑ってしまうシーンも多く、肩の力を抜いて見られる映画です。
でも、感動のシーンもしっかりあります。特に高校生活最後のお弁当は、お母さんの愛情が最大限に込められたもので娘の芳根京子さんと同じタイミングで思わず涙してしまいました。
まさに、笑いあり涙あり心温まる素敵な作品です。