日本沈没

日本沈没のレビュー・評価・感想

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日本沈没
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日本沈没

小松左京の大ベストセラーの映画化。
最初に映画化された方の作品、日本列島の各地で異常な現象が相次いで起きている。地震学者の田所博士が警告をするが、誰も聞き入れない。逆に不安を煽っていると言われてしまい変人扱いに。しかし、時の総理大臣は田所博士を信じて、日本近海の調査を命じる。続々と入ってくるデータには、明らかな異常が認められた。一刻の猶予もならないと、総理は決断する。国民の命を守るために次々と手を打って行くが、1億2000万人の命を救うには問題がありすぎて、とても不可能。受け入れてくれる国は少ない。国土の広い国ならともかく、政治体制の違い、宗教も違う、文化も違う、民族性も違う、悩みに悩む総理と田所博士。ある老人に会いに行く。不思議な老人だ。まるで仙人のような老人が言う。いっそのこと日本人は、島とともに死ぬべきと。それが日本人にとって1番幸せなことだと。日本に生まれ、日本で死ぬ、日本人にはそれがふさわしいと。私はこの場面を見て、泣いてしまいました。当時10代でしたが、このセリフに胸が詰まりました。
ドラマも素晴らしい。特撮も目を見張るよう出来映え。日本映画史に残る名作。今見ても色あせることはない。
草薙剛版の映画も見ましたが、この作品には遠く及びません、残念でした。
監督・森谷伺朗、主演・小林桂樹・丹波哲郎・藤岡弘・いしだあゆみ。

日本沈没
7

『日本沈没』の魅力と見せ場は「日常の危機」と団結力!

〈30秒でわかるあらすじ〉
地球物理学者・田所雄介博士(豊川悦司)は、地震の観測データから日本列島に異変が起きているのを推測し、調査に乗り出す。その後、助手の幸長信彦助教授と共に小笠原諸島沖の日本海溝に潜った田所は海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見。
天変地異を確信した田所はデータを集め続け、一つの結論に達する。それは「日本列島は最悪の場合2年以内に、地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈没する」というものだった。
ここから「日本沈没」を回避するため・ダメージを減らすためのプロジェクトを開始!
最初は半信半疑だった政府も紆余曲折の末、日本人を海外へ脱出させる「D計画」を立案・発動する。しかし田所の想像をも遥かに超えてしまうその後の悪化に、政府もろとも対応・政策は難航する。
日本破壊の天災が続き、四国の沈没を皮切りに、各地でマグニチュード7・4ほどの地震が次々に起きていき、九州地方・近畿地方・中部地方・北関東も地震や津波の被害をモロに受けてしまう。そして、日本列島は完全沈没の窮地に立たされた。
そこで田所は、一か八かの賭けに出る。
〈原作と映画版との違い〉
●小野寺は原作では神戸市出身だけど、会津地方の造り酒屋の息子に変更。
●阿部は原作では下田市出身だが、神戸出身で阪神・淡路大震災によって両親を亡くし、東京の叔母に引取られた事になっている。
●田所博士は原作よりも若く設定され、しかも鷹森大臣と元夫婦の設定。
●中田は登場するも、原作の情報学者でなく防衛連絡調整官という設定。
●福原教授は、原作では前述の救済策を練る比較文明論の教授となっている。
●野崎官房長官は、原作では難民受入交渉の先頭に立つ外交官となる。
●渡老人は初めから登場しない。
【本作の魅力とは!その1】
日本が沈没してしまう!
日本沈没をメインに描きながら、その危機的状況が始まるまでのじわじわ感が半端なく、そこで見られる騒乱・悲惨な運命を浮き彫りにするクライマックスを目前に、緻密で巧妙な持ち運びによって見せ場が創られます。
田所が日本の変調を突きとめてから、その情報を小野寺らと共有し、変調の兆しが次第に現実化していく展開では、本作のクライマックスとも言える「感動の入り口」が斬新な演出によって彩られていきます。
気軽に観ても真剣に観ても面白いので、結末までの展開に至るためのこのような予兆を、ぜひあなたの臨場をもって体感してみて下さい!
【本作の魅力とは!その2】
運命共同体の心!
日本国民にとって「日本沈没」という運命共同体のテーマを掲げ、やがてくる危機に立ち向かっていく人類の姿に、日本人全てが団結できることに一種の暖かさが感じられます。結局、日本国土の壊滅が始まってからストーリーは終始、日本人は皆同じ姿勢をもって安全圏へと登りつめます。
そこで映し出される仲間の意識や、人が持ち合う絆のぬくもりは、本作の魅力をグッと増しながら、ラストシーンでの沈没を免れる場面までずっと続きます。
おそらく本作を観れば、この仲間意識と絆のぬくもり、自然に対する人間としての純粋な感動が芽生えることでしょう。
【本作の魅力とは!その3】
自然の威力!
本作のメインパートともなる地震による災害と悲惨!1973年度版の原作に近い作品でもそうですが、そこはCG(コンピューターグラフィックス)による合成でさすがに冴え渡ります!
実際にその災害現場にいるような臨場を味わえる演出力は、他作品でのグラフィックと比べても傑作と呼べるものでしょう。
この臨場感みなぎる合成の威力をもって、最初からラストシーンまで疾走していきます。
この辺りの作りは、どう見ても2006年版の方が卓越しているように感じられました。全体的に、「こんな大惨事が起きれば、普段の生活でもきっとこのような行動を取るだろう」と思わせる、それ以上派生しない人間の行動に焦点を当てた1作になっている…そのように感じられました。
ぜひこのCG合成の威力を垣間見ながら、あなた自身の体感をもって、原作・前作との違いをご確認下さい!
【レビュー】
私はこの作品を、DVDリリース初日にレンタルして観ました。
本作のストーリーはやはり、「日本沈没」という超々壮大なスケールに組まれていることもあり、見方によってはかなりの感動があると思えます。
この『日本沈没』の見どころを3点あげろと言われたら、やはり、
●小野寺が日本壊滅の予兆を知り、玲子・母親をイギリスへと誘うシーン
●田所博士の「核レベルの爆弾で断層を吹っ飛ばす計画」に小野寺が本気になっていく場面
●ラストシーンで、小鳥がまるで小野寺の生まれ変わりのようになって、実家に戻ってくるシーン
でしょう!
この3点は今でも心象に熱く、おそらく誰にとっても、かなり深い感動を呼ぶシーンに違いありません。
日本人の故郷ともなる日本を舞台にし、それぞれの日本人にとってのベースがなくされていく危機感溢れる様子を、本作では非常に感動的に描かれ、さらにCGなどで効果的に、日本映画の壮大な魅力を組み立てて仕上げられていきます。
本作『日本沈没』を観ていないという方がおられたら、ぜひ1度、このような本物の感動を味わって頂きたいです!