誰にでも起こりうる“マリッジストーリー”
2019年アカデミー賞ノミネート作品。スカーレット・ヨハンソンとアダムドライバーのダブル主演、ノアバームバック監督が送る、リアルなヒューマンストーリーである。
衝撃的な離婚シーンから始まり、過去の回想シーンがところどころ混ぜられながら、胸が締め付けられるような、でもなぜか共感できる気持ちにさせられる。
最初はあんなにも愛していたのに。
同じようなバックグラウンド、惹かれ合い、お互い高め合う若い時代。そこから結婚し、日々が経つにつれ、最初の燃え上がるような、永遠に感じられた愛が、分からなくなる。
妻二コール(スカーレット・ヨハンソン)は女優として成長していきたいと思うが上に、監督である夫チャーリー(アダム・ドライバー)への見方に変化が出てきてしまうのだ。
次第に二コールは、誰かにコントロールされている感覚を感じ始める。それが最愛の夫チャーリーだと気づいてしまった瞬間、今までの思い出は全て悪となり、築き上げてきたかけがいのない時間全てが憎くなってしまう。
これは皮肉なことにとてもリアルで、誰にでも起こりうるのだ。
どうしてあの時、もっと客観的にお互いを見れなかったのだろう。
どうしてあの時、もっとお互い素直になれなかったのだろう。
きっと、お互いが変化していくからこそ、お互い最初の頃には戻ることができないのではないだろうか。
人が変化していくことで、家族の関係性も変化していくことを描いた作品だ。