ブライトバーン/恐怖の拡散者

ブライトバーン/恐怖の拡散者のレビュー・評価・感想

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ブライトバーン/恐怖の拡散者
7

子供がスーパーヒーローの能力を得たら

作り手がアンチヒーローものを作るという明確な意図を持っていて、コンセプトの選択肢が優れていると感じました。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガンが制作に関わっているだけあって、コンセプトの捻り具合と、辛辣な描き方などにセンスを感じました。
内容を一言で言えば、スーパーヒーローの能力を得た子供は怪物でした、という身も蓋もないものです。子供ならではの未成熟な倫理観や思考回路で、邪魔者は殺してしまえと超能力を平然と発揮する主人公がかなり怖く、アンチヒーローはホラーでしかないという題材の認識が非常に真っ当だと感じました。描写もかなり残酷で、観客に負担を強いるトーンも良いですし、一方で両親や周囲の人間が主人公を思いやる心情などもそつなく描いていて、良い映画だと感じました。
その反面で、これはネタバレになりますが、主人公の子供が人間ではなく、実は宇宙から飛来した宇宙生命体だという設定になっています。このコンセプトの場合、人間の子供が倫理観を喪失していくから怖いのであって、それが最初から宇宙人なら「それは倫理なんてないよね」ということになり、歯止めの効かない暴走への恐怖が減退するように思われます。
また、宇宙人が最初から子供の格好だったのは何故か、といった根本的な設定への疑問も残り、設定の大前提が既に乱暴なのが気になる点でした。このコンセプトの場合、人間の子供が隕石に触れて宇宙生命体に寄生されるなど、あくまで人間の子供が何らかの要因で変質する設定の方が良かったと思いましたが、映画自体は面白かったです。

ブライトバーン/恐怖の拡散者
10

新感覚のホラー映画です

ずっと子供が欲しくてもできなかった夫婦のもとに突如空から降ってきた子供が、ブランドンという可愛らしい少年が12歳の時に目覚めた能力、そして、好きな子に対して拗らせてしまった恋情のせいでどんどんホラーっぽくなっていくところが今までのホラー映画にはなくて新鮮に感じました。ブランドンは一体何者なのか、ブランドンが何の力を持ったのかは明かされないままに、どんどん周囲の人間達が死んでいくことに恐怖度が増していきます。最初は拗らせてしまった恋情が好きな子を怯えさせてしまって、嫌われてしまったことへの怒りをぶつけてしまって、その親から非難されてしまうところから悲劇は始まってしまうのが、現代でもあり得そうで怖かったです。そこだけで終わっていればまだ救われたかもしれないのに、ブランドンを恐れて、ブランドンを怒らせてしまったせいでどんどん殺されていく、しかもその殺され方が超人にしかできないことだからこそ、次に何をされるかわからなくて目が離せないのがまた怖かったです。ドキドキハラハラする展開ばかりで、殺され方は残酷だし、保安官なんて突進されただけで死んでしまうので本当にタイトル通りに、恐怖を拡散していく物語だなと感じました。最後まで報われないバッドエンドがまた怖いです。