ドリーム(2016年の映画)

ドリーム(2016年の映画)のレビュー・評価・感想

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ドリーム(2016年の映画)
7

黒人女性が夢を叶えた実話

どんな理不尽な現実に直面しても仕事への誇りを持ち、乗り越えていった黒人女性の実話が映画化された「ドリーム」は、東西冷戦下のアメリカで、国の威信をかけて行われたプロジェクト「マーキュリー計画」を支えた、“名もなきヒロインたち”に光を当てたストーリーになっている。
人種差別が色濃い60年代は、優秀な頭脳を持っているにもかかわらず、彼女達のように、肌の色のせいで活躍できずにいる人は多かった。
1960年代初頭ヴァーニジア州。NASAラングレー研究所・宇宙特別研究本部で働くキャサリンも、白人男性だけの職場で酷い扱いを受けていた。
一分一秒を惜しんで仕事をしているキャサリンは、白人と同じトイレを使用できないため、書類を抱えながら黒人女性用のトイレへ走らされていた。
席を外していたことを叱責された彼女が、もどかしい思いを泣きながら叫んだことで、ようやく実力主義者の上司に「NASAでは小便の色は同じだ」と、白人と同じトイレを使用する許可を出させることができた。
黒人女性は夢を見られないと時には諦めそうになりながらも、仕事への情熱を武器に明らかに不条理な現実を変えていく。
彼女達には心からのエールと賛辞を送りたい。

ドリーム(2016年の映画)
9

逆境に負けない女性たちの逆転劇。

人種や性差別を実力で乗り越える強い女性たちの物語。強い意志を持った女性たちの、男性社会、白人社会への進出、逆転劇が見ていて気持ちいい。また、人類が初めて宇宙に行くという壮大な事柄に関わる人たちの努力に感動する映画。

ここからは見て感じたこと。

この映画を見て、まず言えることは、「先を行く人は凄い」ということ。常に先を見据え、新しいものや技術を生み出していく人、前人未到のことを成し遂げる人、誰も行ったことのないことを自ら進んで行う人、偉業を成し遂げる人たちは、とてつもない努力と時間をかけている。
また、自分の意思があって、自分を信じて進み続けられる人は強い。この映画に出てくる3人の女性は自分の意志があり、実力も兼ね備え、逆境に負けず、むしろ、環境を変えていく。信頼は待ってて得られるものではない。勝ち取るものである。

NASAに入れるほどの頭のいい人でも、小さなことを気にして足踏みする。でも、逆に言えば、その小さなことがそれほど大事で影響の大きいことだったってこと。それらがちっぽけでくだらないと知らせてくれたのは、この映画に出てくる女性を始め、おかしいと声を上げ、それだけでなく、きちんと実力を示し、それまでの常識や概念を覆してくれた人たちのおかげであり、そして、その実力ないし、声を認め、改善してくれた寛大で、優秀な人たちのおかげである。

性差別や人種、国籍差別を行うことがくだらないことであるということをこの映画を見てると感じる。

黒人差別の映画を見るたびに悲しくなるし、これが現実にあったんだと痛感させられる。白人ってだけで偉い、偉そうにするということに苛立ちを覚える。自分は偏見がないと思い込みながら平気で差別してる方がタチ悪い。

女だってどんな人種だって同じ人間である。
また、どんな物事にも多くの人が関わり汗水垂らして働いてることを忘れてはならない。

事実は小説より奇なり。
人種や性差別のお話にとどまらず、実際に宇宙に行くシーンでは、まるでフィクションかのような、ドキドキやハラハラも味わえる。少しでも計算が間違ってたら、1人の命が失われてたもしれない。

このレビューを見て、見ていない人は見たいと、見た人は「あーわかる」と共感していただければ幸いである。