信長のシェフ

信長のシェフのレビュー・評価・感想

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信長のシェフ
8

戦国×グルメ「信長のシェフ」

平成から戦国時代にタイムスリップした記憶喪失のフレンチシェフ「ケン」が、織田信長の料理人として生きていく物語です。まず、戦国時代の人間が見たことも無い、フランス料理に驚く様子が楽しいです。そしてこの漫画の面白いところほ、主人公は一介の料理人に過ぎないにも関わらず、織田信長の難題を全て料理を出すことによって解決します。間者に情報を抜き取られることを危惧して、あえてぼかして伝える信長の意志を汲み取り、料理によって家臣へ伝える。時の権力者に斬新な料理を出して信長の権力を示し懐柔する。戦場で焼肉を焼いて敵兵に日常を思い出させ、戦う意思を削ぐなど、ただ信長に料理を作るのではなく、料理で信長の覇権争いに貢献します。現代よりずっと食材の乏しい戦国時代で、工夫することによって美味しく栄養のある料理を作り上げるところも面白いです。ケンの良いところは、刀を向けられようと絶対に曲げない料理人としての矜恃です。その気高さが信長に気に入られ、料理人でありながら政治を大きく動かす立場にあります。信長からケンへの「おぬし、室町幕府を終わらせてこい」という指示など、一見料理ではどうしようもないような任務にハラハラすることもあります。もちろん料理もどれも美味しそうで、最後にレシピまでついているのが面白いです。