魔界転生

魔界転生のレビュー・評価・感想

魔界転生
9

ダークなロマンを感じる作品

窪塚洋介さん主演のこの映画、とても楽しく拝見しました。
佐藤浩市さんが柳生十兵衛を演じていて、とてもしっくりきていました。
天草四郎より柳生十兵衛の方を主軸として話が進んでいたので途中でどちらが主人公か分からなくなりましたが、天草四郎の背景を元に作られたのであれば、もっと魔界人として妖力を発揮しても良いのでは?と思いました。
日本史では江戸幕府が天下統一を目指していた頃、キリスト教禁止と重い重税の為に天草四郎らが島原の乱を起こしました。
この天草四郎の背景にはキリスタン達に象徴として祭り上げられ、反乱の首謀者として徳川に首を切られてしまう。
神童とされてしまった為になんとも悲しい末路を送ったようです。
そういった歴史上の由縁を元にとても面白い映画だと思います。
柳生十兵衛対宮本武蔵や、家康など想像でも見てみたい対決がワクワクしました。
結果としては柳生十兵衛が徳川の守護として天草を破るのですが、島原の乱では女も子供も無残にも虐殺されてしまったので、まるきり徳川幕府が良い政治をしていたかとも言い切れなかったと思います。
まぁ、徳川の時代がなければ今の世も無いんですけどね。
魔界というオカルトチックな映画ではありますが、非常にダークな意味でのロマンがあります。
面白かったです。

魔界転生
10

『魔界転生』の凄まじきエンタメ精神

『魔界転生』は故・山田風太郎の人気忍法帖小説を映画化したもので、今まで何作もリメイクされて来ました。しかし、白眉は何といっても81年版の深作欣二が監督を担当した作品であると断言します。何より出演陣が素晴らしいのです。主人公・天草四郎を演じた沢田研二はすこぶる妖艶で、中性的な美しさを遺憾なく発揮しています。その天草四郎が地獄から甦らせた魔界衆も豪華な顔ぶれこの上ありません。まず、槍の達人・宝蔵院胤舜に室田日出男、悲劇の死を遂げた細川ガラシャ夫人に佳那晃子、柳生一族との戦いを望む宮本武蔵に緒形拳、伊賀の忍者・霧丸に真田広之、そして柳生一族の総領にも拘らず、一子・十兵衛との死闘を望み魔界衆に堕ちた柳生但馬守役には若山富三郎が起用され、各自名演を魅せています。四郎たち魔界衆は徳川幕府の壊滅を目的に暗躍するのですが、それを阻止するために立ち上がったのが、千葉真一演じる柳生十兵衛です。十兵衛は魔物を斬る妖刀村正を武器に、魔界衆たちに次々と戦いを挑みます。クライマックスは炎上する江戸城内における十兵衛vs但馬守の親子対決です。演者が両者ともに殺陣には定評があるので、凄まじい立ち回りを披露してくれます。そしてラストは強敵天草四郎との決戦です。どちらが勝って、どちらが負けたのか、どういう結末を迎えたのかは是非その眼で確かめてみてください。81年版『魔界転生』の凄まじきエンタメ精神を目の当たりにすることができるでしょう。