魔女と野獣

魔女と野獣のレビュー・評価・感想

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魔女と野獣
8

作者の想像力に脱帽。画力も素晴らしいコミック

非常に画力が高く、ファンタジーの世界が精巧に作られています。

何の説明もなくストーリーは始まり、最初はどんな話なんだろうと戸惑いますが、だんだんと背景が明かされていき、グイグイと引き込まれていく作品です。
未来的でもあり、古風でもあり、この地上の時代背景とは異なることが伺え、舞台となっているのも架空の都市。ヨーロッパ風の美しい街が描かれているのですが、この設定を作りこんだ作者の想像力に脱帽です。

登場人物の描写もただ上手いだけじゃない。怪しげな雰囲気で描かれていて個性が際立っています。
主役となるのは棺桶を背負った男アシャフと、異様に目つきが悪い美少女ギドの二人。この二人のキャラクター設定にもオリジナリティーがあり、とても面白いと思います。

タイトルの通りに魔法がテーマとなっており、二人は呪いを解くために魔女を探しているのですが、ファンタジックな展開がページの中へと読者を惹きつけます。かと言って全くの異世界モノとは言い難く、リアリティのある描き方がされているところにバランス感覚の良さも感じました。
少しグロい部分もあるので苦手な人には注意が必要ですが、ダークなトーンがカッコよくもあり、本当に不思議な魅力を持つコミックです。

魔女と野獣
10

最高のダークファンタジー

まず絵がきれいで見やすく、雰囲気のある漫画である。
主人公・ギドはきれいな見た目の割に口が悪く食欲旺盛で野性的、中身とのギャップが激しい。読み進めていくうちにその理由がわかる。体と中身が違っていて、それが物語の根幹にかかわってくる。
ギドのそばにいてそっとサポートしてくれるのはもう一人の主人公(と思われる)アシャフ、かなり有能な魔術師で食えない不思議な男性だ。ギドに愛を教えたいというその真意はわからないが、二人の間にあるかすかな信頼がどう変化していくのか見ていきたい。
魔女という世界を揺るがす力を持つものが出てくるが、人を襲う魔女もいれば、仲間で助けてくれる魔女もいて、一筋縄ではいかない存在である。
ギドと一人の魔女・アンジェラのただならぬ因縁が見え隠れして、過去に何があったのかはまだ明かされていない。アンジェラは時折出てきてギドにちょっかいをかけては、世界を揺るがすようなことを起こしたり、目的が定かでないく、これから二人の間で何が起きていくのが目が離せない。
メインでないキャラクターも魅力的で、死霊魔術の使い手の魔女・ファノーラは寒気がするような美人で、表情もあまり動かさない鉄面皮のような女性だが、見えないところでやさしさをみせるようなところに心打たれる。
登場人物が個性的で、謎も含みつつ少しずつ明らかになっていくその展開を今後も追っていきたい。