"奇跡の生還劇"の真実を描いた傑作
2009年に発生したUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称「ハドソン川の奇跡」を題材にしたヒューマンドラマです。
実話をもとにした映画制作に定評のあるクリント・イーストウッドが監督を務め、名優トム・ハンクスが主人公の機長チェスリー・サレンバーガー(サリー)を演じました。
監督は実際に事故に関わった人物を本人役で登場させるなどリアリティを追求しており、その手腕は今作でも見事に発揮されています。
この作品には物事の見方や在り方を考えさせられました。
機長サリーは不時着水で乗客を救いますが、NTSB(国家運輸安全委員会)からは乗客を危険に晒したと追及されます。
冬の川に不時着水することは生存が絶望的ともいえる状況のため、別の視点から見ると物事は違って見えるというメッセージ性を感じました。
また、英雄として称えらえることが必ずしも人の幸せと呼べず、有名となり注目されることで今までと違う日常を強いられることの辛さには衝撃を受けました。
メディアの存在意義についても改めて考えるべきだと思い知らされました。
奇跡や英雄という輝かしい言葉の裏にある様々な苦悩や辛さを感じさせる、ただの感動作とは一線を画す傑作映画です。