アイネクライネナハトムジーク

アイネクライネナハトムジーク

『アイネクライネナハトムジーク』とは、2014年に発刊された伊坂幸太郎の連作短編集を原作とした、2019年に公開された日本映画である。監督は今泉力哉。会社員の佐藤(さとう)は、恋愛したいと思いつつも「出会いがないから」と理由をつけて恋愛に積極的になれずにいた。それを友人の織田一真(おだかずま)や妻の由美(ゆみ)らが見守る中、佐藤と本間紗季(ほんまさき)は劇的な出会いを果たす。この作品は、佐藤と紗季やその周りを取り巻く人々が10年にわたって織りなす物語を穏やかに描き出す作品である。

アイネクライネナハトムジークのレビュー・評価・感想

レビューを書く
アイネクライネナハトムジーク
7

10年は長すぎでは?

前半話があって、その10年後と、後半になるのですが、10年ってちょっと経ちすぎというか、ボクサーが10年後も全盛期とかありうるのかと思うし、10年も待たせてひどい男だとも思います。もうちょい、短くてもいいんじゃないかと気になりました。でも、お話はすごくいい話で、ああ、彼に出会えてよかった、彼女を好きになってよかったって話が溢れてて、ほんわかした気持ちになりました。まあ、ちょっと出会いがリアリティないなって気もしますけど、そういうロマンティックなことがリアルでも起きるものなのかもしれません。別れても、傷つけられても、好きになれてよかったと思えたらいいことだなと感じました。
役者陣もよかったです。特に原田泰造さんはほんとに演技がうまいです。芸人さんの中で随一だと思います。めっちゃ哀愁が漂っていて、中年の悲哀を感じました。多部さんはすごくきれいでした。普段よりもきれいに見えたのは、髪型のせいでしょうか、演技プランのせいでしょうか。ともかくとても魅力的に見えました。群像劇って、結構ややこしいものですけど、これはとてもまとまっていて、メインの話もしっかりしていてよかったです。伊坂幸太郎さんって犯罪を関わってくる話が多いイメージですが、ラブストーリーもあるんだなとうれしい発見でした。

アイネクライネナハトムジーク
9

久々に読み返したくなる作品に出会いました

ポイントが溜まっていたので、軽い気持ちで購入しました。タイトルから音楽モノを想像していましたが、内容は全然違いました!(笑)後書でも書かれていますが、現代の普通の大人や学生たちストーリーです。
原作未読で映画も見ていなかったので、読み始めは短編集かと思いました。ところが、話数が進んでいけば行くほど、面白い具合にそれぞれの話の登場人物達が繋がっていきます。しかも、時間という縦軸と、関係性という横軸の両方で。この繋がりを確認したくなり、何度も読み返したくなります。ラストまで読み終えたときの読了感はこの話数の漫画にしては、かなりのものです。
もちろん全編読むことで面白さは倍増する作品だと思いますが、1話ずつの短編として見てもとても面白いです。どれも本当に良いのですが、個人的には4話の「ルックスライク」のオチが1番驚かされました。この作品は特にわかりやすい形で2つのストーリーが進んでいくのですが、それが繋がったときの!そこだったのかー!!!という感覚がワクワクしすぎて忘れられません。作中で鍵となるネタが後々の話までずっと影響していることも、後の方まで楽しく読めます。
小説と違って漫画は画があるので、キャラクターの顔を見て似ている人がいると、そこから繋がりを想像したりしながら読んだりできるのも別の楽しみ方かと思います。映画を見て、原作気になるけど小説は読みにくい…という方にはこの漫画版がオススメです。