罪について
三木孝浩監督らしい、清楚で奥深く、精神性の高い映画。
暴力シーンが出てきても、それが必要不可欠な大切なシーンだと思える。ただのアクションを見せたがっているとは、決して思わない。罪は、誰もが生きている間に大なり小なり起こしてしまう。その償いや、その後の生き方について語られている。また、人生の途中で盲目になると、何気なく見ていた家族の顔、庭に咲いている花などは細かく思い出せなくなるというのも、切なさを感じざるを得ない。
主人公のプロボクサーの男性、そして彼に巻き込まれた盲目の女性の出会いは、良縁なのか悪縁なのか。罪意識を強く持って生きてきた2人が出会うことで人生の清算がはじまっていく。
最終的には、自分を許すことが、自他共に守ることへと繋がる。聖なる教会やシスターの言葉がキーとなる。クライマックスでは、離れ離れになった2人が、愛犬の行動や懐かしい音楽、思い出の場所などに導かれて、本当の再会を果たした。三木監督の、ストーリーの繋がりを感じるたびに感動するカットがふんだんに詰め込まれている映画である。