トラペジウム

トラペジウムのレビュー・評価・感想

トラペジウム
7

アイドルへの執着と狂気、歪な友情。そして成長の物語

この物語は、主人公・東ゆうが古今東西の美少女を集めてアイドルデビューを目指して奮闘するという作品だ。夢に向かってキラキラ頑張る主人公とその想いや行動に感化されついていく仲間たちといった模様を描かれるのではなく、着実に堅実に夢を掴むために動いていく主人公を丁寧に描いている。劇中では、夢の実現のために何が必要でどう動くべきかを常にノートに記し、それを実行していく主人公のシーンが何度も描かれていたり、仲間を集める際に、まず相手の悩みを解決し、信頼関係を構築した上で仲間にするといった、主人公の打算が伺えるシーンも登場する。そして、夢の実現のためであれば仲間の気持ちより利益のことを重視して動く主人公は物語が進むにつれて行動がエスカレートし、仲間に対して厳しく当たるようになり。次第にそのモチベーションについていけなくなっていく仲間たちとすれ違っていく様子は、女の子の集団に起こる人間関係をリアルに表現している。

そのリアリティが生まれる理由は、本作品の原作が小説であり、その作者が元乃木坂46・高山一実氏だ。彼女はこの作品をグループ在籍時に、雑誌『ダ・ヴィンチ』で掲載しており、当時の彼女の経験がこの小説には現れているのだろう。

女子高生のリアルな人間関係や夢を追い求める苦悩を体感できる映画を、ぜひ体感してほしい。

トラペジウム
3

思ったより普通

『トラペジウム』は現役トップアイドルである乃木坂46の一期生メンバー、『高山一実』が雑誌『ダ・ヴィンチ』にて連載していた小説。ストーリーは、絶対にアイドルになりたい高校一年生の『東ゆう』が、その地方の東西南北の美少女を仲間にしてアイドルになっていく物語である。アイドルや美少女は他人からきらびやかなイメージを抱かれやすいと思うが、作者の高山一実も美少女でありアイドルなので、アイドルや美少女にしかわからない苦悩や困難などが描かれていた。20万部も売れた小説ということで期待していたが内容は飛び抜けて面白いということではなく、思ったより普通だった。現役トップアイドルである乃木坂のメンバーのためファンもとても多いため、そのファンが買ったのかと思った。しかし、女性が描いたこともあって、女性特有の悩みやグループ意識などについて描かれていたところもあり、そういったところは興味深く読むことができた。この作品から学べるのは、自分がやりたいことを実現するということはもちろん簡単なことではなく、自分が精一杯努力したとしても、やりたいことが必ずしもできるわけではないということだ。夢の大切さ、そして実現することの難しさを再確認することができる作品だ。