アイドルへの執着と狂気、歪な友情。そして成長の物語
この物語は、主人公・東ゆうが古今東西の美少女を集めてアイドルデビューを目指して奮闘するという作品だ。夢に向かってキラキラ頑張る主人公とその想いや行動に感化されついていく仲間たちといった模様を描かれるのではなく、着実に堅実に夢を掴むために動いていく主人公を丁寧に描いている。劇中では、夢の実現のために何が必要でどう動くべきかを常にノートに記し、それを実行していく主人公のシーンが何度も描かれていたり、仲間を集める際に、まず相手の悩みを解決し、信頼関係を構築した上で仲間にするといった、主人公の打算が伺えるシーンも登場する。そして、夢の実現のためであれば仲間の気持ちより利益のことを重視して動く主人公は物語が進むにつれて行動がエスカレートし、仲間に対して厳しく当たるようになり。次第にそのモチベーションについていけなくなっていく仲間たちとすれ違っていく様子は、女の子の集団に起こる人間関係をリアルに表現している。
そのリアリティが生まれる理由は、本作品の原作が小説であり、その作者が元乃木坂46・高山一実氏だ。彼女はこの作品をグループ在籍時に、雑誌『ダ・ヴィンチ』で掲載しており、当時の彼女の経験がこの小説には現れているのだろう。
女子高生のリアルな人間関係や夢を追い求める苦悩を体感できる映画を、ぜひ体感してほしい。