パパと親父のウチご飯

パパと親父のウチご飯

『パパと親父のウチご飯』(パパとおやじのウチごはん)は、豊田悠によるハートフルフード漫画。『月刊コミック@バンチ』(新潮社)にて、2014年から2020年まで連載された。元カノから娘・愛莉を預けられた整体師の千石、妻と離婚し息子・清一郎を引き取った編集者の晴海。シングルファーザーとして子育てに奮闘する2人は、互いの利害の一致からルームシェアを選択した。全員が抱える様々な問題を、料理を通しながら子どもたちと心を通わせ、次第に家族になっていく心温まるストーリー。

パパと親父のウチご飯のレビュー・評価・感想

パパと親父のウチご飯
7

シングルファザーとこどもの成長物語

この漫画は、元カノから一人娘を預けられた整体師と、一人息子を引き取り離婚した漫画編集者が、ルームシェアして子育てに奮闘する物語です。題名にもある通り、ご飯や食事を通して子供達と親達の成長が見られます。親子で通っている料理教室の先生や、周りの人たちに助けてもらいながら自分の子供と向き合い時には楽しくみんなで笑ったり、怒ったり落ち込んだりしながら、親子の絆を深めていきます。ストーリーの中で避けては通れないのが、父親二人の過去の話です。どうしてシングルファザーになったのか、二人はどのように知り合ったのかなどもちゃんと掘り下げられていてより深く物語に入り込める作品です。そして、なんと言っても出てくる食べ物がどれも美味しそう!親子で協力して晩ご飯を作ったり、料理教室で子供がパパ二人に料理を作ってあげたり、子供の幼稚園のお弁当をパパ二人が頑張って作ったり、とにかく美味しそうで読んでいておなかがすいてきます。パパ達と子供達に中心にストーリーが進んでいきますが、料理教室の先生のお話だったり、その妹さんの話などもあります。どの話にも美味しそうな料理が出てきて、単行本だと巻末おまけに出てきた料理の簡単なレシピが載っているので、実際に作って食べることも出来ちゃいます。

パパと親父のウチご飯
9

家族の絆に感動しました。

シングルマザーの話はよくありますが、この漫画はシングルファーザーたちの話でとても新鮮な世界観でした。
それに、両方とも母親がどこか遠くへ行くために預かってもらったり、本当に離婚していたりと環境も違う、そんな二つの家庭が共同生活するのってとても大変なことなんじゃないかなと思いましたが、何度も衝突しながらも親子同士の絆を強めていくところが素敵だなと思いました。パパと親父で頑張って母親代わりをしようと料理教室にまで通っちゃうパパたちも可愛いし、それを子供たちと一緒に料理しながら参加しているのがなお微笑ましくて癒されます。
これでだんだん母親がいなくても幸せな家庭なのでは?と思いきや、やっぱり子供、母親が恋しくなるときがあるのだなというシーンもあって、片方は会えているのにもう片方は全然会えないし連絡もできないことに、子供ながら拗ねていじめてしまう始末に、やっぱり母親の存在って凄いのだなと実感しました。どんなに父親との絆を深めていても、小さい子供にとっては母親が一番必要な時期なのだなと思うと、自分に子供ができたときにこうしてあげたいな、絶対こんなことはしたくないと思ったので、とても勉強にもなりました。
少しずつ育まれていく歪な親子たちの絆に感動します。

パパと親父のウチご飯
7

ただのグルメ漫画じゃない!

このグルメ漫画の登場人物は、二人のシングルファーザー「千石」、「晴海」、そしてその子供二人です。しかし、ただのグルメ漫画ではなく、家族の愛情や葛藤を織り交ぜた人間味溢れる作品となっています。整体師として働く千石は荒っぽい性格であり、「ガキの考えてることは分かんねえ」と一人娘の育児に奮闘する毎日。そんなとき、ひょんなことからお人よしな性格の晴海と出会うことに。晴海は人見知りの一人息子と二人暮らしで、うまく家事をこなすことができない毎日を送っていました。性格が正反対の二人が出会い、どんな展開が待ち受けているのかが気になるところ。そしてこの作品の見どころは、毎日親子で作るご飯のシーン。レシピや料理のコツ、さらには子供と一緒に料理を作る際のポイントまで細かく漫画で教えてくれます。さまざまな登場人物に影響されながら、ご飯作りに奮闘する四人の姿がとてもかわいらしい作品。「パパと親父のウチご飯」の作者、豊田先生の柔らかい雰囲気で描かれる表情や料理がたまりません。運動会のから揚げ弁当、友達と作る手作りピザ、仲直りのメンチカツなど、誰もが懐かしむようなグルメ漫画がここにあります。仕事の休憩時間や晩酌のお供にぴったりな「パパと親父のウチご飯」。ぜひ読んでみてください。