女神の見えざる手 / Miss Sloane

女神の見えざる手 / Miss Sloaneのレビュー・評価・感想

女神の見えざる手 / Miss Sloane
8

最後に相手を驚かす...

こちらは、映画館で公開されていたのかどうかも分からないほど、初めて聞いた名前の映画だったので全く期待をしていなかった。米国での、銃規制法案に関するロビー活動をめぐる、ロビイストとその周りの人間のドラマなのだけれど、どうやら、これには、まだまだ続編というか、スピンオフがありそうな感じを受けます。
全く派手なアクションもなければ、過剰なお色気シーンもない。笑いをとることもなければ、御涙頂戴のシーンも全くない。主人公は鉄仮面のような女性だが、実は、彼女の心の中にも深い深い傷があったのではないかと思わせる。少し嫌な言い方をしてしまえば、「作家だけが知っているアリバイやトリックが最後に出てくる推理小説」の如く、Miss Sloane だけが知っていたこと(つまり、観客も全く知らない内容)が沢山ある。少し間違えば、その「なんだ、こういうことをしていたのか」と白けてしまいそうなところが、白けさせず、「おお、こうきたか!」と思わせてくれるのは、脚本や監督の腕の見せ所なのかもしれない。
周りの俳優陣も、名前を知らなかったり見たことがなかったりした人たちが多い中、誰一人、こびるような演技をしたり、アメリカ映画でありがちな、わざとウィットに飛んだセリフを言うこともない。なかなか良い映画だった。

女神の見えざる手 / Miss Sloane
9

かっこいい映画

銃規制に関する法案をめぐるロビリストの話です。裏でどちらかに傾くように工作するロビー活動の専門家みたいなのがいるんですね。なんか、ニューオリンズ・トライアルとかも裏でいろいろする人が出てきましたが、アメリカはそういうのが多いのでしょうか。お話は、最後、主役の女性ロビリストが負けた感じに終わりそうだったのに、最後の最後には彼女の罠がきちんときいて、さすがだ!て感じで鳥肌が立ちました。銃規制の話はよく聞きます。ニューオリンズ・トライアルも銃規制の話でした。ほんと、なんであんなに銃が普通に溢れてるなんて、嫌だなと思いました。銃乱射事件とも多いし、犠牲者とかも大勢いるでしょう。でも、銃とか武器屋て儲かるし、既得権益なんだろうなと思います。主役の女性は、自分の勝利のために、人も踏みにじるし、冷徹な感じです。でも、眠らないように薬まで使って強い女だし、目的のためなら、我がをも犠牲にしているし、ここまで徹底してたらかっこいいです。それに敵の陣営もひどいですしね。正義をかざしてたら、勝てないという世界なのだと思いました。それに、邦題の女神の見えざる手っのもかっこよくないですか。何につけてもかっこいい映画でした。

女神の見えざる手 / Miss Sloane
9

最後の5分で全てがひっくり返る!

主人公は優秀なロビイスト、エリザベス・スローン。銃規制法案を強化すべく、緻密な計画を立て、時には味方をも欺く行動で政治家たちと戦う。「ロビー活動は予見すること。敵の行動を予測して、対抗策を考えること。勝者は、敵の一歩先を読んで計画し、自分の手を見せるのは、敵が切り札を使った後。相手の不意を突いても、自分が突かれてはだめ。」
映画はスローンのこの言葉からはじまるが、この短い言葉の中にこの映画の全てが詰まっている。ある日大手ロビー会社に勤めていたスローンにクライアントから、銃規制法緩和に向け女性票を集めて欲しいと依頼される。会社にとって大事なクライアントからの依頼だったが、スローンは自身の信念に反するとしてその依頼を断る。
大手クライアントからの依頼を断ったスローンはそのまま在籍していたロビー会社を辞め、銃規制に賛成派の小さなロビー会社への移籍を決める。その際、部下たちの分の席も確保し数人の部下と一緒に移籍することになったが、1番近くで仕事をしてきた部下ジェーンは大手ロビー会社に残ることに。そして銃規制賛成派と反対派の全面戦争がはじまる。
ジェーン率いる反対派は、今まで行き過ぎた行為を数え切れないほど行ってきたスローンのスキャンダルを暴くことで反対票を集めようとする。それに対してさまざまな策を駆使して賛成派の票を集めるスローン。
しかし、最終的にそのスキャンダルの証拠が見つかってしまい、それが聴聞会で問われることになってしまう。もう為す術がなくなってしまったと思われたスローンだったが、ここで冒頭のシーンの言葉を発言する。
スローンの切り札はなんだったのか。さまざまな場面で感じる違和感が全て最後のシーンで繋がる爽快感。
アメリカ社会に深く切り込んだストーリから一瞬たりとも目が離せない作品です。