不浄を拭うひと

不浄を拭うひと

『不浄を拭うひと』とは沖田×華による漫画作品。『本当にあった笑える話Pinky』にて連載が始まった 。ストーリーは特殊清掃員を生業にしている山田正人が依頼を受けて孤独死をした人の部屋や、ゴミ屋敷の清掃を通じて人の生死や生活について考えるものとなっている。特殊清掃員という仕事上、人の死や人生について深く触れている内容になっているため、死後にどのような清掃がおこなわれるのか、残された遺族たちの言動などリアリティに溢れる内容が魅力となっている。

不浄を拭うひとのレビュー・評価・感想

不浄を拭うひと
9

あんがい身近な特殊なお仕事

人の死は、普段あまり気にしませんが、毎日たくさんの人が死んでいます。死にまつわるお仕事と言えば、葬儀屋さんや、仏壇・仏具屋さんや、墓石屋さんくらいかと思っていましたが、特殊清掃員というお仕事があったんですね。部屋でひとりで死んでしまったら、後片付けをしてくれる人は、必須です。孤独死は、思っているよりも多く、日本がかかえる問題のひとつです。死に方も状況も様々で、きれいになくなる方ばかりではないですから、それは大変な職業です。主人公の正人さんが、霊感体質だったことには、笑ってしまいました。絶対就いてはいけない職業じゃないですか。作品の中では、作業の様子もわかりやすく描かれています。人がひとりで死ぬときの状況は、なかなか想像がつきませんが、この作品を読めば、いろいろな例があげられており、人の最後について考えさせられます。作業する清掃員の方の苦労は、部屋に残されたゴミだけでなく、遺体のにおいや、湧いた虫や残された体液や血痕からの細菌感染症のおそれなどたくさんあります。作品の中では、え!って思うものが落ちていたりして…。こわいもの見たさで読み始めても、人が死ぬということがどういうことか、自分が死ぬときはどんな状況だろうかなど、深く考えさせられる作品です。

不浄を拭うひと
7

特殊清掃人のリアル

特殊清掃人のリアルな体験談を漫画化。
世の中には様々な職業があるけれど、これは中でも超特殊なグループです。
特殊清掃人とは、独居老人が亡くなった場合の遺品整理や、ごみ屋敷の片付けなどの仕事を請け負う人のこと。ダークな世界の隙間産業ですね。いったいどんな世界なんだろう、という興味を掻き立てられて一気に読みました。
特に面白かったのは主人公が霊媒体質だということ。危険な部屋(連続して死人がでる部屋など)には危険を予知して足が動かない、最初の仕事で死者本人の髪の毛(!)を発見し、同情したばかりに霊を引き寄せて自宅に連れ帰ってしまうというエピソードは、実話としか思えません。
人間が死んだらこうなるんですね。主人公の奥さんもトラウマになり、大変な目にあうというオマケつき。家族も大変だ。
漫画家・沖田さんの軽いタッチの画風のおかげで、ダークなドロドロした感じは一切なく、たんたんと、かつサラッと読むことができるのでおススメです。独居老人は今後も増え続けるし、もしかしたら自分もこんな職業の人にお世話になる死に方をするのかも、と読み終わってふと思ったときが実は一番ゾッとしました。
いつ孤独死してもいいように、はき古したパンツは捨てておこう。