学校であった怖い話

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学校であった怖い話
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圧倒的なボリュームと恐怖演出に背筋が凍る?サウンドノベル「学校であった怖い話」のススメ

学生時代、七不思議や怪談話が噂されていたと記憶している方は多いのではないでしょうか。トイレの花子さんや13階段の噂と言ったメジャーな怪談話は今なお語り継がれる有名な噂ですが、そのような怪談話をしながら進行していくゲームが「学校であった怖い話」です。
1998年にSFC専用ソフトとしてパンドラボックスから発売された文字を読み進めて選択肢で展開が変わるいわゆるサウンドノベルゲームです。縦書きのテキストと、実写の登場人物や風景をグラフィックとして使用した独特なテイストのゲームですが、SFCのゲームだし題材が学校の怪談ってクオリティはどうなの?と、心配になる方もいるかもしれません。しかし実際にゲームに触れてみると、当時のSFCのゲームとは思えない圧倒的なボリュームのテキストとシナリオ分岐の数に最新のゲームに慣れ親しんだ若い世代の方もきっと驚くはずです。
怪談のクオリティも高く、花子さんでも13階段でも独自の解釈で展開する意外な結末に恐怖心を与えてきます。

物語は全7話構成で、新聞部に入ったばかりの高校1年生の主人公が学校の七不思議についての特集記事を書くために部長が集めてくれた7人の生徒(語り部)たちから話を聞くというシンプルな前提。ですが、語り部は6人しかおらず7人目を待たずして七不思議の話が始まっていくのです。
前述したようにこのゲームは選択肢のボリュームが多いことで有名なゲームで、話を聞く語り部を選んだ順番によって7話目の展開が変わるように作られています。ですのでほんの2、3周クリアしたところで学校であった怖い話の数割しか触れていないことになるのです。
語り部を選ぶ以外にも主人公の選択で話が大きく変化することもあります。
たとえば花子さんのエンディングに行きたい場合は、語り部を各話で全員行方不明にする必要が出てきます。どのようにしたらそうできるかは何度も周回をしてその展開になるシナリオを語り部ごとに見つけるしかありません。
他にも隠し要素がたくさんあるので、これらを全て見つけるには膨大な時間がかかることは想像できるはずです。

シナリオの面では、語り部が主人公に話したり問いかけることで進むテイストが独特で、個性のある語り部たちの雰囲気は目新しさも感じられます。
ただ全てにおいて素晴らしいかと言うとそうとも言えない部分も少しあり、荒削り感が感じられるシナリオやすぐに終わってしまうもの、先が読めてしまう話も多少あります。
しかしそれでも学校という限られた空間内だけでの恐怖演出の作り方は工夫されており、ホラーが好きな方ならきっと楽しむことができるでしょう。
また、怪談内で出てくる幽霊や悪霊などもとても怖いのですが、それと同じくらい学校にいる生徒や先生、語り部たちはさらにこの話で恐怖を煽ってくる存在として描かれています。主人公の選択によって進んだ展開次第では、彼らは全く違った一面を見せ、プレイヤーたちを怖がらせてくるのですが、それらを見ることで何よりも一番怖いのは人間なのかも…という精神的な恐怖も同時に感じてしまうゲーム作品です。

怖い話が好き、1本でボリュームのあるゲームで楽しみたいという方におすすめできる作品です。
追加主人公とシナリオがプラスされたプレイステーションソフト「学校であった怖い話S」もリメイク作品として出されていますので、さらに恐怖を味わいたい方にはこちらもおすすめです。